MRBRAIN 文剧本.docx
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MRBRAIN文剧本
第5回
『変人脳科学者VS美しき多重人格者!
!
結末は驚愕のアハ体験!
?
』
中川純(木村多江)の婚約者・木下庄治(貴山侑哉)を殺害した犯人は、
弟の優(佐藤健)ではなかった。
姉の純が犯行を認め、優は釈放されるのだが、九十九(木村拓哉)と
丹原(香川照之)は、優の7年分のメモと楽譜から真犯人を第三の人物だと
考える。
九十九は、毎日書かれている優の楽譜とメモが、いくつか抜けている日が
あることに気がつく。
優が覚えていない記憶を探り、あることに気がついた九十九は、
優のピアノの師匠である八木仁(東儀秀樹)のコンサート会場に向かう。
八木のピアノ演奏を聞きながら、九十九は犯行当日に優が楽譜に
書き残した音符の謎を解明するのだった。
Nシステムに映った人物の映像の中に八木の姿も映っていた。
丹原たちは、八木の車のトランクから木下の血痕を探し出すと
九十九に告げる。
あとは自供させるのみ。
九十九は八木をアトリエに呼び出して追求する。
「八木さん、あなたですよね?
犯人。
」
「私は曲のアイディアに詰ると一人で車を走らせて
ドライブすることがあるんです。
それで犯人にされちゃあね。
」と交わす八木。
「優さんは毎日曲を書いているんです。
でもそれがところどころ抜けているんです。
それもあなたが盗んだんですよね?
」
「・・・何か証拠でもあるんですか?
」
「あ・・ありますよ。
あなたのCDです。
こちらのピアノソナタ第四番追憶、
この曲を優さんが聞いたとき、
湖に、星が降ってくるみたいだ、って仰ったんです。
これ見て下さい。
『2006.8.20
姉さんと湖。
ボート。
星がふる』
同じなんです。
そしてこの日の楽譜も、無くなっているんです。
優さんはその時の記憶を譜面に残したんです。
あなたはその譜面を盗んで曲として発表した。
だから、優さんはこの曲を聴いて、その時の体験を思い出したんです。
優さんにとって曲は、感情の記憶、ですから。
」
「そんなのよくある偶然としか思えませんけどね。
」
「じゃああなたは、木下さんも殺してない。
そして優さんの譜面も盗んでいないと仰るんですか?
」
「当然ですよ。
」
「おっかしいなぁ。
忘れちゃったんじゃないんですか?
あ、じゃあ念のために、あなたの記憶力をテストさせてみて下さい。
これから僕と神経衰弱で勝負してもらいます。
そしてあなたが勝ったら、犯人じゃないと認めます。
」
「負けたら私が犯人ということ?
」
「はい。
」
「・・・いいでしょう。
やりましょう。
」
「じゃあ、行きますよ。
」
九十九は部屋中にトランプを並べていく。
「そんなに広げるんですか?
」
「せっかくですから、部屋全体を使ってやりましょうよ。
あ、ここにも置きましょう。
」
楽譜の前にも一枚トランプを置く九十九。
「じゃあ、始めましょう。
公平を規するために皆さんには外に出てもらいます。
」
丹原、林田、神田は外に出され、部屋の中には九十九、八木、優の
3人が残る。
九十九と八木の勝負が始まる。
譜面の前にあるトランプに手を伸ばした時、八木はあることに気付く。
「どうしました?
」九十九はそれを見逃さない。
「・・・」
全てのトランプは二人の手の中に。
「はい、これで最後です!
皆さんお待たせしました。
じゃあ数えてみましょう。
」
「信じたくないですけど・・僕の負けです。
」と九十九。
「じゃあ、これで無罪放免ですね。
それでは。
」
立ち去ろうとする八木を九十九が止める。
「これ以上されると、私も手段を考えざるを得ない。
」
「すみません、説明不足で。
本当はですね、ここからがテストなんです!
はい、では皆さんにも問題です。
先ほどと、今現在、この部屋のどこか、1箇所だけ違うところがあります。
はい、どこでしょうか!
?
」
「あ、私達もやるんですかぁ!
?
」神田のわざとらしい声。
「当然です。
」
「やれやれ、どうしてそんな面倒なことを。
」用意されたセリフを呟く丹原。
白々しく部屋の中を探し回る林田、神田、丹原の3人。
「八木さんも、ご一緒に、どうですか?
」
「・・いや、私は次の予定があるからね。
」
「あ!
!
わかりましたぁ!
楽譜が一枚、無くなってるー!
」
精一杯演技をする林田。
「正解!
!
譜面台の上の楽譜が、無くなっているんです。
」
「・・・」
「八木さん。
渡してもらっていいですか?
それとも、押収させてもらった方がいいですか?
」
「・・・」
観念した八木は持っていたトランプを投げ捨て、
胸ポケットから楽譜を取り出して放る。
「事件があった時優さんは咄嗟に楽譜の中に犯人の名前を
書き込んだんです。
あの時のあなたは、これが自分の名前を指し示すものだと
気付かなかったんです。
ドレミファソラシド、それの日本語の音階名は、
ハニホテトイロハ、ですよね?
」
「そのルビは、僕が、ふりました!
」と神田。
「ドミラレは、ハホイニになります。
でもこれ、ハホイニじゃなくて・・・
八木 仁さん、ですよね。
あなたは神経衰弱をやっている最中に、これが自分の名前を指し示す
ものだと気付いたんです。
それで慌てて隠した。
でも、よく考えてみて下さい。
それって、自分が犯人だって、告白したようなもんですよね?
だって犯人意外にはこれ、ただのドミラレ、ですし。
ただの、ハホイニ、ですもんね。
あなたは、偉大な作曲家だったんですよね?
でも才能が尽きて曲が書けなくなってしまった。
けれども昔の名声は忘れることが出来ない。
記憶があなたを犯罪者にしちゃったんですよ。
」
「・・・」
「あの、一つだけ教えてもらっていいですか?
何であなたは、優さんの曲を盗む事が出来たんですか?
そこだけが、わからないんですよ。
」
「フフフ・・・。
パンドラの箱だよ、今お前が開けたのは。
」
「パンドラの箱?
・・・開けてはいけない箱・・・。
そうか!
!
」
そこへ、和音がやってくる。
科警研に戻った二人。
湖のほとりで発見された頭蓋骨は、連続強盗殺人犯だとわかった。
「もちろん、何の関係もないかもしれませんが・・。
」と和音。
「・・・これが始まりか・・。
」と九十九。
取調室
「犯人は八木先生・・」と純。
「やっぱり、優さんがやったと思ってたんですね?
」と九十九。
「だってそれは・・」
「違うんですよ、八木さんが作り出した状況を、あなたが見て、
優さんがやったっていう風に勘違いしちゃったんです。
そしてあなたは、優さんのことを庇おうとして、
必死で自分が犯人だという風に仕立てていった。
ですよね?
」
「あのメモは・・」
「八木が、書かせたんですよ。
」と林田。
「・・・そっか。
八木さんだったんだ・・。
」
「では、ここからは別件です。
」
丹原はそう言い、連続強盗犯・西崎(デビット伊東)の写真を見せる。
「西崎実と言います。
彼は5年前から消息不明だったんですが、
先日、骨になって発見されました。
この男を、ご存知ですよね?
あなたはそれをネタに、八木に脅されて、
優さんの楽譜を渡し続けた。
八木が全部喋りました。
」と林田。
「・・・やったのは私です。
5年前のあの日・・私はアトリエに行って、
優は散歩に出てて・・。
」
西崎に首を絞められた純は、必死に手を伸ばして陶器を掴むと、
それを西崎の頭に叩きつけ・・。
「警察に言うべきだと思ったけど、
私がいなくなるとあの子は暮らせなくなる。
だから・・遺体はバラバラにして、あちこちに捨てに行きました。
でもある時・・」
遺体を捨てに行こうとした純は、アトリエに訪ねてきた八木と
ぶつかり、撙埭Δ趣筏皮い窟z体を見られてしまう。
「それからは、八木さんの言いなりになるしかありませんでした。
八木さんは、弟の曲を自分の曲として発表し始めて。
私は悔しかったけど、優は、何もわからないから嬉しそうに聴いていて、
それだけが救いでした。
」
「木下さんとは?
」と林田。
「あの人は・・本当にいい人で、優のことも受け入れてくれていて。
でも、私が八木さんに脅されていることに気付いて・・」
(回想)
「私が殺したのよ!
」
「裁判になったら僕が君を守る!
!
」
(回想)
「結構ケンカになっちゃって。
優はそれを見て、木下さんを悪い人だと思ったのかもしれません。
あの人は、一人で八木さんに話をしにいって・・殺されたの?
」
「八木は、そう言っています。
」
「・・・そうですか。
私、何年くらいの罪になりますか?
」
「・・・西崎をやったのは、優さんですよね?
」と丹原。
「違います!
私です。
」
「じゃあ何も知らないんですか?
優さんは。
」と丹原。
「そうよ。
現場にいたのは私一人だったんだから。
」
「現場を見てもいないし何も知らない?
」と丹原。
「さっきからそう言ってるじゃない!
」
「じゃあ何で優さんは、あの日作った曲を弾くと、
過呼吸になっちゃうんですか?
」と九十九。
「やったのは私です。
」
「優さんはあなたのことを守ったんじゃないんですか?
」
「・・・」
「結果はどうであれ、優さんはあなたのことを守ったってことは、
真実じゃないんですか?
」
「・・・」
西崎に殴りかかったのは、優だった。
姉を助け出そうと、何度も何度も・・。
「それも嘘にしてしまっていいんですか?
」
「・・・良かった、記憶障害で。
優はこんなこと、全部忘れちゃえるもんね。
」
「忘れないと思いますよ。
人間っていうのは、前にあったこととか、昔の事を、
よく忘れちゃったりするじゃないですか。
例えば、自分が好きな人の顔とか名前とか、
何を話したとか、どんな楽しい時間を過ごしたとか。
でも、実際に偶然そういう人に会うと、自然とこうふわっと、
笑っちゃったりするんですよ。
人を好きになった気持ちは、覚えているんです。
どうしてそういうことが起きるのかというと、
脳の海馬と、大脳辺縁系以外に、記憶を貯めておく隠しポケットが
いっぱいあるんです!
誰かに愛されたり、愛したっていう記憶、一番純粋な記憶は、
脳の一番深いところ、大脳辺縁系って言うんですけど、
そこに閉まってあるんです。
最後まで忘れないように。
」
「・・・」
「だから・・・忘れません。
」
「そんな慰めいいわよ・・。
」
「慰めじゃありません!
優さんは、亡き王女のためのパヴァーヌを、
すごく、優しい表情で弾いていました。
パヴァーヌを作曲したラベルは、記憶障害にあいました。
でも、そのあと、自分で作ったその曲を聴いて言ったんです。
この曲は素晴らしい、誰が作ったんだろうって。
優さんにとっての、『亡き王女のためのパヴァーヌ』は、
お姉さんなんです!
だから・・お姉さんは・・だから・・」と和音。
「あなたは永遠なんです。
」と九十九。
「・・・そう・・ですか・・。
」純は泣き出し・・。
その頃、優はとても穏やかな表情で『亡き王女のためのパヴァーヌ』を
弾いていて・・。
その後、土手でお昼寝をする九十九と和音。
言い出したのは九十九でしたが、先にイビキをかいて寝ちゃったのは
和音の方。
九十九は和音の鼻をつまんだりしていましたが、
今の自分に対しての不安のようなものがこのシーンにも込められて
いたように思いました。
地下室
素足で階段を上っていく女性。
扉を開け、ゆっくり外に出て行く。
高台によじ登り、青空を見上げて涙をこぼし・・。
田んぼに囲まれた古い一軒家。
彼女は監禁されていたのでしょうか?
日が変わり、都議会議員の松下百合子(大沢逸見)が、
拳銃で撃たれ殺害される事件が起こる。
殺人現場
遺体には毛布が掛けられ、犯人は被害者を殺したあと弁当を食べた
ようだった。
特別セミナー 科学捜査の今と未来
夏目の講義に居眠りする観客たち。
夏目は突然実験物を爆発させてみせる。
「今寝てた人たち!
見逃しましたね!
残念でした!
」
難波、神田たちが終わり、九十九の番直前、
なぜか和音は夏目らたちからビールを勧められ、ゴクゴクっ!
。
「もう一杯いただけます?
」
『ホタルノヒカリ』の雨宮を思い出します。
(笑)
九十九の講義内容は、人間の脳は色と形、どちらを先に認識するか。
観客にスクリーンを使って実験を進めていく九十九。
そんな中、和音はビールのせいでトイレへ急行。
赤い色のトイレに駆け込む。
個室に入っていると、男の声。
「ここ・・女子トイレなのに・・」戸惑う和音。
「爆弾は仕掛けた。
」
「15分後に、爆発します。
」
ホールへと急ぐ和音。
その時、ある女性(仲間由紀恵)とぶつかってしまう。
「ごめんなさい!
!
」先を急ぐ和音。
「痛っ!
もう、なによぉ。
」女性がおおらかに笑う。
九十九のマイクを奪う和音。
「今、この会場に、爆弾が仕掛けられました!
すみやかにここから避難して下さい!
!
」
「・・・」
「嘘じゃないんです。
本当に爆弾が仕掛けられて!
」
なぜか会場から拍手が沸く。
九十九も一緒に拍手している。
「え!
?
・・え!
?
」
「ご覧のとおり、実験は成功しました。
今ご説明させていただきましたとおり、人間の脳は、
条件によって、形よりも、色を認識してしまうことが
これで証明されたわけです。
協力してくれたのは助手の由里和音さんでした!
」
「・・・どういうことですか!
?
」
九十九は予め、トイレのマークを形をそのままに、
男のほうを赤、女のほうを青にしておいたのだ。
和音は赤を見て咄嗟に女子トイレと判断、
そして神田と夏目に爆弾犯のふりをさせたのだ。
ステーキ屋
大食いチャンレンジ、1時間で10枚食べればタダ+1万円プレゼントに
挑戦する美しい女性。
見事食べきり、ガッツポーズ!
和音と九十九がその女性とすれ違う。
思わず女性に見とれる九十九。
「どうしたんですか?
」
「いや・・今、物凄く容姿的に・・こう、不自由な方が・・」
「あ、ものすごく美人な方が通ったということですね?
」
「・・・」
都議会議員・松下の殺人事件を調べる刑事達。
凶器は、45口径の軍用自動拳銃。
古い型のもので、20年から15年程前に暴力団を通じて
持ち込まれたものだ。
そして、殺害後に犯人が現場で食べたお弁当から指紋とDNAを検出した。
そこから浮上した容疑者は、15年前に起こった『誘拐事件』の被害者・
秋吉かなこ、当時10才!
そして松下は、かなこが誘拐された当時の学校の担任だったことが
判明する。
警察は科警研に捜査の協力を求める。
15年前、1994年6月6日の15時頃、都内の小学校で4年生の女子生徒が
行方不明になった。
警察は公開捜査に踏み切り、被害者の行方を追ったが発見には
至らなかった。
そして今回、その子の指紋とDNAが被害者の着衣やドア、及び
残された弁当から検出された。
被害者が加害者になった!
?
科警研では、行動科学研究室の浪越克己(井坂俊哉)が調査のリーダーに
任命され、プロファイリング捜査が試みられる。
船木は15年前のかなこの写真から成長したかなこの顔を作っていく。
神田は当時のかなこの音声を成長させてみせる。
夏目らは殺人現場に出向き、どの角度で発砲されたのかを調べる。
難波らは遺体を調べ、被害者の瞼はあとから閉じられたことを知る。
遺体の瞼には、犯人の指紋が残されていた。
被害者は恐怖のあまり大量の皮脂を分泌、その油が指紋を刻んだのだ。
そして九十九は、殺人現場で犯人が弁当を食べた事が気になっていた。
「人を殺したその場でわざわざ弁当を食べる理由って何なんでしょうね。
「お腹が、空いてたとか。
」と和音。
「お腹が空いてたね、なるほどね。
でなきゃ、犯行現場で食事しないですもんね。
でもね、人間は興奮状態にあるときに、通常、脳の中に
ドーパミンが分泌されて、空腹感を感じないはずなんです。
」
「確かに!
熱中している時、お腹が空いているの、忘れますもんね!
林田さん?
」
「・・え?
・・ええ。
」
「どうかしたんですか?
」
「怖く、ないですか?
この事件。
」
「怖いですけど・・竹神の時とかの方が・・私的には・・」
「でも、あの時は包丁だったじゃないですか。
今度の犯人は銃を持っちゃってるんですよ!
」
「ちょっと何を言っちゃってるんですか!
お弁当ですよ!
」と九十九。
「・・は?
」
「お弁当の方が怖くないですか?
」
「・・・」
「もうわかんないなー、本当に。
秋吉かなこさんの脳を調べてみたいですねー。
」
白いワンピース姿で携帯で話しながら歩くかなこ。
「何考えてるんだお前!
!
」携帯から男の声。
「わからなくて・・」
「今どこだ!
?
」
「わかったら、連絡する。
」
「秋吉かなこさんは一人じゃない、かもしれません。
」と九十九。
「共犯がいるってことですか?
」と和音。
そこへ、浪越が顔を出す。
「助けて下さい・・お願いします!
!
」
浪越がみんなから預かった資料を読む九十九。
「読めば読むほどわからないですねー。
秋吉かなこさんは一体何を考えてたんでしょうね。
」と九十九。
「九十九さんもそう思いますか?
」と浪越。
「はい。
あ、でも、とりあえず夏目さんのデータを基に秋吉かなこさんの
行動を再現してみましょう。
はい、僕が秋吉かなこさん役。
」
和音が松下役に抜擢される。
「えっと、まず、秋吉かなこさんは、比較的遠めから松下さんを狙い、
でも左足を撃った。
ここですぐに秋吉さんは松下さんのことを殺害することは出来たんだけど
そうはしなかった。
で、松下さんは撃たれた左足を庇いながら逃げた。
そしてこういう位置まで追い込んで、今度は、1メートル程の距離から
右足を撃たれています。
そして次に、なんかの拍子に上げた右手を撃たれます。
そして、松下さんは両足と右手を撃たれた状態で何とか逃げようとして
ドアの方に向かっていきます。
這って!
そして背後から背中に一発。
秋吉かなこは、被害者がようやくドアのところまで来た時に、
後頭部を撃った。
バン。
」
「大分、もったいぶった殺し方ですね。
」
「殺す事が目的だったらこんな殺し方しませんね。
」
「犯人の目的は、被害者をいたぶってから殺す事だったって
ことですか?
」
「次は毛布ですよね。
」
「はい。
」と浪越。
「秋吉かなこさんは、松下さんに、最後に毛布を掛けてあげているんです。
」
「それが、何?
」と和音。
「犯罪心理学の立場から言うと、遺体に毛布を掛けてやるという行為は、
遺体に、何らかの畏怖の念を抱き、埋葬しようとしたということに
します。
更に難波さんの通過検証に遺体の瞼から、秋吉かなこの指紋が
検出されているんです。
」
「瞼!
?
」と和音。
「遺体の瞼を閉じさせてやったということです。
これも非常に丁重な弔いの儀式を意味しています。
」
「そのあとは、腕の圧迫痕ですよね。
」と九十九。
「遺体の両腕に、圧迫されたあとが残っているんです。
恐らく秋吉かなこが、遺体に抱きつき揺すった時に付いたものと
思われます。
遺体の着衣から、秋吉かなこの唾液が発見されていますから。
」
「なぜ、唾液なんか・・」
「遺体にすがり付いて泣いたんじゃないでしょうか。
あたかも・・生き返って!
って言わんばかりに。
そのあと恐らく、瞼を閉じて、毛布を掛けたんですよね。
」と九十九。
「はい。
」
「殺す前と後では、やっていることがまるで別人ですね。
」と和音。
「その後なんてもっと謎ですよ。
秋吉かなこは隣の部屋で何事もなかったように幕の内弁当を
食べているんです。
」
「だから共犯がいたんですか!
?
一人じゃなかったんだ!
」
「いや・・その可能性は極めて低いと思います。
DNAも足跡も、それを示していましたから。
」と浪越。
「犯人は3人いたんじゃないんですか?
」と九十九。
「でも、証拠は?
」
「一人だったんですけど3人だったんです。
つまり、一人の人間の中に、3人の人間がいたんです。
」と九十九。
「・・・それって、」と和音。
「そうです。
秋吉かなこは、多重人格なんじゃないでしょうか。
」
「・・・」
「多重人格自体、ごく稀な症例です。
その可能性は極めて、」と浪越。
「いや、極めて高いと思います。
」と九十九。
そんな中、第2の殺人事件が起きてしまう。
倉庫の中、かなこに負われる男。
銃声が鳴り響く。
「どうして・・今になって・・」
男の口に銃口を突っ込み微笑むかなこ。
銃口を吐き出し、男が喋る。
「俺達上手くやってた、」
かなこはもう一度男の口に銃口を突っ込み、そして引き金を引く。
返り血を浴びたかなこは又、微笑み・・。
「だとしたら早く捕まえなければ・・
大変なことになるかもしれない!
!
」九十九が叫ぶ。
「空が見たかったから。
」
かなこが呟く。