野猪大改造剧本第1集.docx
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野猪大改造剧本第1集
『いじめられっ子転校生を人気者に』
遠くに聳え立つビル街を見つめながら歯を磨く、桐谷修二(亀梨和也)。
ミラーで髪型を直し、自転車に跳び乗る。
工事現場の人間を振り切って走る。
目指すは、川沿いに立つ柳の木。
工事現場で働く人が危ないから入ったらダメだと追いかけてくる。
「『いや、だから、柳の木にタッチしないと、俺は学校に行けないんです。
自分で、そう決めちゃったんです。
』
・・・と言ってみたところで、このオッサンたちにわかるワケもなく。
」
柳の木に触れたあと、気合を入れ、修二は学校へと向かう。
「俺が思うに、この世の全ては、ゲームだ。
っていうか、みんな口には出さないけれど、
そう思わないと、やってられないことばかりだ。
毎日は、意味のないことの繰り返しだし、
お前となんか、金輪際、関係ねーだろって突っ込みたくなるような、
テレビで聞いた話しかしねーヤツとか、
いろんな意味で、ヤバそーなヤツとか。
ガキが集まっているこんな中じゃ、マジになった方が負けだ。
」
友達にカラオケに行かないかと声をかけられる修二。
「お前らよく言うよ。
俺が立て替えたカラオケ代まだ返してねーだろーが。
」
「もち!
・・・あ、やっべ。
今日放課後さ、担任の横山に呼ばれてるんだった。
いつもん所だろ?
終わったらすぐ行くから。
」
「100年待ってたって、俺は行かねーよ。
うまく立ち回って、いいポジションを属持していれば、
傷つくことなくゴールまで行ける。
さあて、今日もちょっとクールで、でも面倒見のいい桐谷修二君、
前回フル稼働といきますか。
とはいえ、完璧なこの俺にも・・・天敵はいる。
」
着ぐるみに身を包むよう自分自身を演出し、人気者として君臨する
2年B組・桐谷修二。
周囲をうまく盛り上げ、まさにクラスのリーダー。
そんな修二の唯一苦手な人物が、同じクラスの草野彰(山下智久)。
彰は優柔不断でおっちょこちょい。
でもって、ちょっとピントがずれている。
その性格からクラスでも浮いた存在の生徒。
そんな彰は、修二のことを「親友」と思い込み、修二になにかと絡んでくるから
修二としてはおもしろくない。
どうしても、こいつの前では調子がくるってしまうのだ。
ある日、いつものように柳の木に挨拶にいくと、柳が消えてなくなっていた。
「無い!
!
柳が無い!
!
俺の、唯一の癒しの場所だったのに。
おい、魚ちゃん、何で無いんだよ。
教えてくれよ!
柳?
どこ?
いない?
柳!
?
」
一人の少女がぬぼーっと立っていた。
「まさか・・・柳の精!
?
」
「柳・・・探してるんなら、ないですよ。
昼間・・・引っこ抜いてどこかに持っていきましたから。
柳だから、首吊るには向かない木だったけど。
わさわさ揺れてる姿なんか、この世の物ではないみたいで。
」
修二は不気味な少女の前から急いで自転車を走らせる。
「柳が引っこ抜かれた日、あいつがやって来た。
この世の全てを恨んでいるような、あの女と、
この世の全ては自分の為にあると思い込んでいる、このバカのおかげで、
この日まで平和だった俺の高校生活が、微妙にズレ始めていたのを、
俺は迂闊にもこの時、まだ気付いていなかった。
それはつまり、どういうことかというと・・・
あ、このあとのことは、話したくないです。
」
商店街の本屋・ゴーヨク堂には
『美男美女意外は立ち読み禁止』
『ケバイ女入店禁止』という張り紙がしてある。
お笑い研究会では、近藤と長谷川が結成した『ディスティニー』が、
セバスチャンやバンドーがチャレンジしたが、
店主(忌野清志郎)に追い返されたと面白おかしく話する。
その店で立ち読みをクリアしたのは今のところただ一人。
それは、学校のマドンナ的存在の2年A組・上原まり子(戸田恵梨香)。
そんなある日、修二の通う隅田川高校に転校生がやってきた。
職員室に偵察に行ったタニによると、矢田亜希子似だと言う。
男子達は大騒ぎ。
担任の横山(岡田義徳)と一緒に転校生・小谷信子がやって来た。
俯いたままの少女。
「矢田亜希子じゃないじゃん。
」ざわめくクラス。
転校生を見た修二は驚く。
あの柳の木のあった場所にいた少女だった。
自己紹介をと教師に言われ、名前も言わない信子。
将来の夢ややりたいことや入りたいクラブを聞かれても、
俯いたまま「ないです。
」と答えるだけ。
横山は、バンドーに自分の席に戻るよう言い、バンドーが座っていた席に
座るよう信子に言う。
信子は席に付くと、机の上のゴミを払った。
「ねぇちょっとアンタ!
今机、汚そうにはらったよね。
私が座ってたのがそんなに汚いって言いたいわけ!
?
」
バンドーは信子の頭をはたき、自分の席へと戻っていった。
クラスの雰囲気の悪さに、横山はディステニーに持ちネタを披露するよう
言う。
だがあまりにもつまらないギャグに、クラス中あきれ返る。
唯一、彰だけは大笑い。
修二は二人に、暗くなるな、と気遣う。
暗い雰囲気の信子は、この机のこともあり、不良グループのリーダー、
バンドーに睨まれてしまう。
授業中、クラスの女子たちは、信子の悪口を書いた手紙を回し始める。
『感じ悪い→キモい→臭い』
と、内容はだんだんエスカレートしていった。
昼食時間。
まり子が弁当を二つ持って修二のクラスにやって来る。
二人は付き合っているらしい、とクラスのみんなが噂する。
理科室でまり子の弁当を広げる修二。
「うめぇ!
」と感謝の言葉を並べたてる。
バンドーたち不良グループは一人で弁当を食べる信子の弁当箱を
ひっくり返す。
美咲が声をかけようとするが、
「変に声かけると、ずっとうちらと一緒に弁当食べなきゃならなくなるよ。
」
と友達に言われ、声をかけるのをやめる。
信子は床に散らばったご飯を弁当箱に戻し、一人教室を出ていく。
まり子に約束の待ち合わせ時間を聞かれ、お葬式を理由に断る修二は
黒いネクタイを見せた。
日にちを変えようと言うがわれ、返答に困っていると、そこに信子がやって来た。
生ゴミを捨てる場所を探していたのだ。
修二は焼却炉の場所を教えるといい、まり子を残して理科室を出ていく。
焼却炉のゴミ箱に弁当を捨てる信子。
「早く戻ったら?
彼女待ってるよ。
」
「別にいいんだよ。
つーか、彼女じゃないし。
」
修二はゴミ箱に黒いネクタイを捨てる。
葬式というのは嘘で、そのネクタイは、約束をドタキャンするときに
使えるんじゃないかと思い拾ったものだと言う。
「だったら・・・最初から約束なんてしなかったらいいじゃない。
」
「それは・・・」
「その通り!
」
屋根の上から二人に話しかけてきたのは佐田教頭(夏木マリ)だった。
「桐谷よ。
その時さえ良ければいいなんていうのは、いつも通用するとは限らんぞ。
」
屋根の上から空中宙返りで着地し、
「正門だとぐるっと大回り。
時間が勿体無くて。
あんた、コイツがまっとうな人間になるように、教育してやってよね。
」
信子にそう言い歩いていった。
「からす天狗かと思った・・・。
」信子が呟いた。
職員室では、学校の塀をよじ登る、若作りしたオバサンを目撃したと
話が出ていた。
丁度そこへ、プリントを持ってきた修二。
「それは・・・」教頭に睨まれ、
「みんなが言うには、・・・カラス天狗じゃないかって・・・。
」
放課後、修二が自転車置き場に行くと彰が声をかけてきた。
「助かったナリ。
チャリの鍵失くしたっちゃ。
乗ーっけて。
」
「無理。
」と答えた時に、彰はもう後ろにに乗っていた。
「からす天狗の次は、子泣き爺ぃか!
?
」
平山豆腐店の前で自転車を降りる彰。
「一杯寄ってく?
」
「何だよ、一杯って。
」
「マメチチです。
」
店主に断り、豆乳を注ぐ彰。
「マメチチって、豆乳のことか・・・。
」と修二。
「何?
これ豆乳って言うの?
マメチチじゃないの?
おじさん、何で教えてくれなかったの?
」
「いいんだよ、名前なんかどうだって。
中身がちゃんとしてれば、いいんだって。
」
彰はこの豆腐店に下宿していたのだ。
修二に実家は遠いのかと聞かれ、
「実家はあのビルの一番上!
」
「ふーん。
え!
!
あの高層マンション!
?
おまえんち金持ちなの?
」
「だっちゃ。
」
「おやじさん何やってんの?
」
「父ちゃんは、右側のビルの、一番上の会社で、社長さんやってまーす。
」
「社長さーん!
?
」
「親父に言われたんだよねー。
お前は会社を継ぐんだから、楽しむのも高校のときまでだ。
だから、精一杯青春を謳歌しろ。
苦の無い時間を過ごせーって。
」
モンブランかショートケーキか。
どちらにしようか迷う彰。
「青春ってさ、イマイチよくわかんないんだよね。
」
「俺が思うに、誰も、やったことのないようなことをしてみるとか、
挫折するまで自分の能力を出し切ってみるとか、
そういうことなんじゃないの?
」
ケーキを決められない彰。
「お前さ、どっちも選べないってことはさ、
どっちも、欲しくないってことなんじゃないの?
」
修二はそう言い帰っていく。
「そうなの?
・・・どっちも欲しくないね。
そんな答えもあるんだ。
目から鱗!
」
彰の瞳からコンタクトレンズが落ちた。
彰は社長のご子息でしたか!
恵まれた環境で育ったんでしょう。
自転車で家へ向かう修二。
部屋の窓から修二の姿を見つけた弟の浩二(中島裕翔)が駆け寄る。
「お兄ちゃん!
お母さんが・・・」
弟に急かされ家に着くと、父・悟(宇梶剛士)がテレビを指差す。
見ると、『ナイジェリア国境付近旅客機墜落 日本人乗客9人搭乗』と
ニュースが伝える。
「お母さん、乗ってたって・・・」
搭乗者リストの中に、『キリタニノブコ』・・・母親の名前がある!
慌てて母親の携帯に電話する修二。
だがつながらない。
事故現場に落ちた携帯の着メロが鳴る・・・。
その時、家の電話が鳴る。
「身元確認の電話とか・・・」
恐る恐る出てみると、伸子(深浦加奈子)本人からだった。
ナイジェリアの仕事先からで、飛行機事故のことすら知らないようだ。
「今日のご飯何?
ギョウザ?
餃子かぁ・・・」
そう言っている間に電話は切れてしまった。
家族は伸子が無事だったことを泣きながら喜び、夕食の支度をする。
父がギョウザを焼く間、弟の給食袋の穴をヒヨコのアップリケで塞ぐ修二。
弟の浩二が、
「何でヒヨコ!
?
ワタナベと一緒なんだもん!
」と文句を言う。
「ワタナベって女なんだろ?
」
そうしている間にギョウザが焼きあがる。
「しかしあれだな。
今地球上のどこかで、悲しみにくれている家族もいるんだよな。
」
父の言葉に修二も浩二も考える。
翌朝、学校へ行く前に柳の木のあった場所を訪れ、じっと見つめる修二。
学校へ行くと、バンドーのグループが信子の机に花を生けていた。
クラスの生徒はそれはまずいと思いながらも、何も言えない。
「それちょっと趣味悪すぎ。
ね。
」
「冗談じゃん。
修二冗談好きじゃん。
」
「いや。
こういうのは笑えないでしょ。
てかほら、ベタじゃない?
ベタでしょ。
撤収、撤収、撤収!
」
「ちぇっ。
ほんとツマンネー。
」
「ほらバンドーちゃん。
俺らが目指しているのはさ、シュールでドライな笑いだから。
」
修二がバンドーの肩に手を置きそう言う。
「わかった。
はいはい、つまんねーの。
」と言いながら、4人は花を片付ける。
その4人、廊下で信子とすれ違い、
「転校二日で死んじゃうなんて、可哀想ー!
」と言葉をかけた。
返す言葉も無く黙って通り過ぎる信子。
「しかと?
何あのコ。
ほんとムカツクし。
」バンドーが彼女の背中をにらみつけた。
信子が一人、非常階段で弁当を食べる姿を見かけた修二。
「マジであいつ、引っこ抜かれんだろうなー。
ま、俺には関係ねーけど。
」と呟き、まり子のところへ戻っていった。
彰は修二の姿を見つけると駆け寄り、
「もらってくれろ。
」彰が修二の掌に何かを置く。
「何だこれ?
」
「ウロコなるぴょーん。
」
「コンタクトだろ!
」
「俺の目から出た鱗。
お前の言葉で目が覚めた。
お前の言うとおりなんだ。
俺ね、実は、やりたいことも、欲しい物も、何もない人間なんだ。
」
「みんなそうなんじゃないかな。
」
修二は鱗に「じゃーな。
」と言ってから吹き飛ばす。
修二のあとをくっついて歩く彰。
「ふざけんなよテメー。
」女子トイレから大声が聞こえてくる。
二人が覗くと、バンドーたちが信子に詰め寄り、水を駆け出した。
憮然とした表情で見つめる彰。
4人は彰に気付き、その手を止める。
「みーんな仲良くやりなっしゃい。
」彰がいつもの調子で言う。
「女子トイレ覗いてんじゃねーよ。
」
バンドーが彰にホースを向ける。
「もっと来い!
」と彰。
「お前ら、セバスチャン来てるけどいいの?
」
修二の言葉に、4人は慌てて教室へ戻っていった。
水浸しのまま座ったままの信子に手を差し伸べる修二。
3人は、屋上で制服を乾かした。
「お前さ、もっと要領よく出来ないの?
周りに合わせようとか思わないわけ?
」と修二。
「そうそう。
ちょっと自分を変えるだけで、違うと思うよ。
」と彰。
「何も変わることなんか出来ないと思う。
」
「そんなことねーだろ。
」
「無理。
何も変えることなんか出来ない。
・・・私だって変えようと思ったことはある。
うちの母親は再婚で、新しいお父さんが来たんだけど、
私はいつまでも馴染めなくて。
でも、それじゃあダメだって思ったから、
思い切って、ものすごく思いきって私、呼んでみたの。
」
「お父さん。
」幼い信子が父親に声をかける。
「あ、ごめん。
お母さんとは結婚したけど、僕は、君のお父さんじゃないから。
」
「恥ずかしかった。
恥ずかしくて自分なんか消えればいいと思った。
勇気を出したらなんとかなるとか、心開いたら分かり合えるとか、
私信じないの。
だって、信じて心開いたって、ミジメな思いするだけ。
もういいの。
苛められるのにも慣れた。
ずっとこうだったし、多分これからもそうだし。
」
「慣れるワケねーだろ。
なぁ。
水かけられて、弁当投げつけられて、お前それでいいのかよ。
最初から何も変わらないなんて勝手に決め付けてるんじゃねーよ。
とりあえずさ、生きなきゃなんねーんだから、俺達は。
このちっぽけな学校の中でさ。
」
ゴーヨク堂書店で『立ち読みをしたら許してやる』と
バンドー達に条件を出された信子。
修二はある案を思いついた。
=ゴーヨク堂書店=
「あの、本下さい。
」修二が店主に言う。
「本って、どの?
」
「あ、そうか。
全部本ですもんね。
じゃあ・・・
こっから、ここら辺まで。
」
本棚の一列を買い占める修二。
「あと、2、3日この棚に置いておいてもらうことって大丈夫ですか?
」
「いいけど。
」
「あとあのちょっと、調べごとがあるんで、ここに読みに来ても
大丈夫ですか?
」
「うん。
いいよ。
」
「本当ですか!
?
あ、じゃあ、ちょっと待って下さい。
」
修二が外で待っていた信子を店に連れてくる。
「この子が、読みに来るんで、よろしくお願いします。
」
「うん、いいよ。
」
「じゃあお前、早く金払えよ。
」修二が彰に言う。
「俺が払うのー。
」
「協力するって言ったじゃんかよ。
」
「わかったよ。
これ使えますか?
」彰は財布からゴールドカードを出す。
「いいよ。
」
お笑いコンビ、ディスティニーがみんなに報告する。
「ついに出ました新記録!
」
「立ち読みした時間が2時間10分、おったまげた~!
」
「あの上原まり子を抜いたのが、キモい転校生と噂されてた、
あの小谷信子!
ショッキングー!
」
生徒達は、ゴーヨク堂のレベル下がったのではと再チャレンジした
セバスチャンの話で盛り上がる。
セバスチャンが立ち読みしようと本を広げると、店主は竹刀で阻止。
『美男美女以外は立ち読み厳禁』の張り紙を差す。
信子の噂は学校中に広まり、生徒達が信子を一目見ようと
クラスに押しかける。
まり子と信子の2ショット写真が学校新聞にも掲載された。
バンドーはそれを悔しそうに引き裂いた。
「これで小谷は苛められなくなる。
」と喜ぶ彰。
「甘いよ。
またすぐ苛められるって。
いいか、こんなに下にいたヤツがだぞ、そこそこの人気者になろうとしたら、
普通に戻すぐらいじゃダメなんだよ。
トップレベルまで持っていかないと、人の見る目は変えられないんだ。
」と修二。
「じゃあさ、そのトップレベルまで、小谷を持っていけばいいんじゃなーい?
」
「そう簡単に言うんじゃねーよ。
」
「まあ中身が伴わないんじゃダメかもしんねーけど。
」
「中身なんてどうでもいいんだよ。
みんなが美人だって言えば美人になるし、
みんなが欲しいって思えば、値段も上がる。
世の中にはそういう風に仕掛けるヤツもいるんだよ。
」
「誰だよその仕掛けるやつって。
」
「あそこにいるやつらじゃん?
」屋上から見えるビル街を見つめる修二。
「うちのお父ちゃん?
」
「バーカ。
一人じゃねーよ。
みんなでもっと金使わせる方法はねーかって、知恵絞ってんだよ。
たいしていい歌じゃないのにヒットさせたり、
普通の女の子をアイドルにしてみたり、
まずいラーメン屋さんに行列作ったさ。
まあいわゆる、プロデューサー、っていうやつ。
」
「へ~。
それ、やろうっちゃ。
小谷を学校一の人気者にしちゃえばいいんじゃないの?
」
「何のためにだよ?
」
「お前言ったじゃん。
誰もやったことないことを、力の限りやれって。
」
「言ったけどさ、」
「俺達が、小谷をプロデュースするんだっちゃ!
」
「俺達?
」
「俺達!
」
「つーかさ、お前どっちかっていうとプロデュースされる方だろ?
」
「じゃあそれでもいい。
お前して。
ついでだから。
」
「何でそうなんだよ。
」
「頼むよー、桐谷修二プロデューサー!
」
「・・・」
「俺の青春、見えたナリーーー!
!
よろしく!
」
学校新聞のまり子と信子の2ショット写真を見つめ
「ひょっとしたら世の中変えれんのかな。
こんな俺達でも・・・。
」と呟く。
二人に屋上に呼ばれた信子。
「嫌です!
!
」
「なーんで!
?
」
「嘘つくの、嫌だから。
今度のことだって、私本当は美人じゃないのに。
」
「でももうそういうことになってるんだっちゃ。
いいじゃん別に。
大事なのは既成事実なんだし。
」
「私、みんなに本当のこと言います。
」
「小谷!
お前今がチャンスなんじゃねーのかよ。
おまえ自身が変わろうって気出さないとさ、一生苛められんぞ。
マジで根こそぎ引っこ抜かれんぞ。
あの柳みたいにさ。
お前それでいいのかよ?
」
「だから言ったじゃない。
何も変わらないの。
この世はどこまでいっても同じ世界が続いているだけ。
私が住んじゃいけない世界が、ずっと続いているだけ。
」
「じゃあ作ればいいじゃん。
お前が住める世界をさ、俺が作ってやるよ。
」
「そうだっちゃ。
作ってもらっちゃえよ。
」
「・・・いりません。
」信子はそう言い立ち去った。
「あーあ。
『小谷、俺が作ってやるよ』って、やる気満々じゃん。
」
「俺がその気でも、あいつがあれじゃ、無理だろう。
」
「どよーん。
」
「お前の青春、もろくも崩れ去ったナリ。
バーン!
」
指でピストルを作り打つマネをし、修二も屋上を後にした。
「・・・ドヨ~ン。
」
修二が廊下を歩いていると、佐田教頭に棚の上の荷物を取ってくれと
頼まれる。
荷物が崩れ落ち、佐田はそこから猿の手を見つける。
「何ですか?
猿の手って。
」
「知らないの?
3つの願い事が叶うのよ。
あー、ラッキー!
もう一本みっけ。
あんたに上げる。
願い事はね、声に出して言わなきゃダメよー。
」
放課後。
「願わくば、俺の柳の木が、別の場所で元気に暮らしていますように。
」
猿の手に願掛けしていると、彰がやってきた。
「これやるよ。
」
「ゲロゲロ。
何これ?
」
「猿の手。
なんか願い事が3回叶うらしいよ。
今俺1回頼んだから、あと2回行こうだ。
」
「願い事ねー。
何願えばいいんだろね。
お姉ちゃんいっぱい呼んで、抱きついて、ウハウハーなんて言っちゃったりして。
」
これ、カウントされちゃうんじゃ!
?
(笑)
バンドーたちの信子へのイジメは悪化していた。
「立ち読み出来たからって調子こいてんじゃねーよ!
」
下駄箱に追いつめられる信子。
『おまえ自身が変わろうとしないと、一生苛められんぞ。
マジで根こそぎ、引っこ抜かれんぞ。
』
修二の言葉を思い出す。
そして、カバンを振り回し応戦。
信子は必死に逃げ出す。
修二はヨシダから、バンドーたちが信子相手に派手にやっていると
聞かされる。
無関心を装う修二。
教室から離れると、信子を探しに走り出す。
校庭で4人に捕まる信子。
砂場に倒された信子は砂をかけ、校外へと逃げ出す。
「助けて・・・」心の中で叫ぶ信子。
「この世はどこまで行っても、同じ世界が続いているだけ。
私が住んじゃいけない世界が、ずっと、続いているだけ。
」
信子は、ゴードク堂書店に逃げ込む。
店の中まで追って来た4人を店主は阻止。
バンドーの首根っこを掴み放り出す。
「何すんだよ!
」
店主は黙って竹刀で今日の張り紙を差す。
『いけてない女は滅亡しろ!
』
砂場に落ちていた制服のネクタイ。
修二はそれを拾い上げ、歩き出す。
ポケットに手を入れると、浩二の袋に付けたアップリケが入っていた。
=ゴーヨク堂書店=
店主は信子をイスに座らせ、コーヒーを差し出す。
「全然違う世界に来たみたい・・・」辺りを見渡し、信子が言う。
「私が作った世界。
」店主が信子を見つめて言う。
コーヒーを飲んだ時、天井に貼られた紙に気付く信子。
『優しくなければ生きる資格はない』
『タフでなければ生きてゆけない』
たくさんの言葉が貼ってあった。
帰り道、信子は佐田教頭が猿の手に願掛けしているところを目撃。
「校長の頭の毛が、日に日に薄くなって、
3年後には、どうか、どうか・・・
ずるっぱげになりますように・・・」
佐田が信子に気付く。
「あ、見た?
あげる。
私もう気が済んだから。
あと2回は願い事が叶うはずだから。
」
佐田が投げた猿の手をキャッチした信子。
「校長先生が、嫌いなんですか?
」
「もう大っ嫌い!
でも仕事だから会わないわけにはいかないしね。
困ったもんよ。
願い事は、声に出して言わなきゃダメよ。
」
「私は、毛が抜けるぐらいじゃ、許せません。
もっと、酷い目にあわせたいんですけど。
」
「人はね、何を思っても自由。
私なんか、頭の中で何人殺したことか。
頭は便利だよ。
本当に行動しなくても、思っただけでそれで切り替えて、次にいけるからね。
さーてと!
これ、ものすごーく効くから、願い事は慎重にね。
」
佐田はそう言い帰っていった。
あの柳の木があった場所で、信子は猿の手に願掛けする。
「バンドーなんか・・・バンドーなんか、この世から消えてしまえ!
」
自転車をこいでいた修二は通り過ぎる船にあの柳の木が載せられていることに
気付く。
「やっぱあの柳だ!
これはつまり、俺の願い事が叶ったってことか