パン酵母を利用した组换えDNAキット精.docx
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パン酵母を利用した组换えDNAキット精
パン酵母を利用した
組換えDNA実験キット
先生用マニュアル
山口大学工学部
キット内容 (10グループ用+予備実験1回分付)
先生用マニュアル
1冊
生徒用マニュアル
1冊
酵母菌予備実験用 (0.3ml)
1本
冷凍庫(-20℃)保存
酵母菌本番用 (1.5ml)
1本
冷凍庫(-20℃)保存
アミラーゼ遺伝子導入済酵母菌*
1本
冷凍庫(-20℃)保存
DNA液 (各0.05ml)
12本
冷凍庫(-20℃)保存
遺伝子導入液 (各0.2ml)
12本
冷凍庫(-20℃)保存
YPD培地**
6枚
冷蔵庫(4℃)保存
デンプン培地**
11枚
冷蔵庫(4℃)保存
最少培地**
12枚
冷蔵庫(4℃)保存
発色液** (3ml)
11本
冷蔵庫(4℃)保存
スプレッダー**
12本
1本毎包装
ループ**
34本
1本毎包装
滅菌済スポイト**
23本
1本毎包装
スポイト (発色液用)
11本
個別包装なし
フロート
1枚
*遺伝子導入済酵母菌は必要ならば使用してください。
遺伝子導入が成功した場合には使用する必要はありません。
**予備実験用も含む。
組成は付録参照
キットの保存
・マイクロチューブに入っている酵母菌,DNA液,遺伝子導入液はまとめて冷凍庫に入れて保存してください。
・プレート培地類も冷蔵庫においた方が長持ちしますが,室温で保存しても構いません。
・多くのの器具は殺菌しています。
袋を開けた場合でも保存するときには袋をとじてください。
キットに含まれているもの
先生に用意していただくもの
・湯浴(42℃) 1個なべ等に湯を入れて42℃にする。
・温度計 1本42℃設定のため。
・殺菌槽 1つ容器に漂白剤(キッチンハイター等)を入れる。
・はさみ グループ数袋から器具をだすため。
・ごみ袋 グループ数小さめでよい。
写真のようにおくと便利。
・サインペン グループ数チューブやプレートに記入するため。
酵母組換えDNA実験キット
平成14年に改訂された文部科学省の「組換えDNA実験指針」では教育目的組換えDNA実験指針が新設され,さらに,平成16年の組換えDNA実験の法令化では教育目的組換えDNA実験の枠組みはなくなりましたが,基本的に平成14年の実験指針に従って行うこととされています。
このキットは国の規則に合わせて,組換えDNA,遺伝子,タンパク質,酵素などを学ぶことができるキットです。
本キットは,高等学校等で教材としての使いやすさを特に配慮しています。
このキットには,以下のような特徴があります。
1)安価である。
2)教師の準備の手間がほとんどない。
3)特別な実験機器を全く必要としない。
4)すべての試薬,器具が含まれている。
5)簡単で失敗がない。
6)教師用予備実験も含まれている。
7)保存できる。
8)身近なパン酵母やアミラーゼを利用するので安全で親しみやすい。
9)生物IとIIの教科書との対応が考えられている。
10) 工夫が盛り込め,高度な実験への展開も可能である。
シンプルな実験操作で遺伝子導入や遺伝子からヒトに有用なタンパク質が生産される様子を学ぶことができます。
実験を通して生物に対する理解が深まり,遺伝子への興味や人類社会におけるバイオテクノロジーの役割を考えるきっかけとなれば幸いです。
本キットの実験概要
アミラーゼはデンプンを分解する酵素で,だ液の中に入っています。
実験ではカビアミラーゼ遺伝子を持つDNAを酵母菌に導入します。
カビアミラーゼ遺伝子は,お酒の発酵に用いるこうじ菌(Aspergillusoryzae)由来のもので,酵素は消化薬にも利用されています。
酵母菌はアミラーゼ遺伝子を本来持ちません。
アミラーゼ遺伝子が導入された酵母は遺伝子が転写,翻訳されてアミラーゼが合成され,分泌されます。
このアミラーゼ活性はデンプン分解能力で検出します。
ヨウ素デンプン反応を使って培地に含まれるでんぷんの分解を調べます。
遺伝子導入のしくみは次ページの図のようになります。
ウラシル(栄養素の一つ)を合成できない酵母菌を使います。
この酵母はウラシルがない培地では生育できません。
この酵母にウラシルを合成する遺伝子が導入されたら,ウラシルがない培地でも生育できます。
したがって,ウラシルを合成できない酵母菌とウラシル合成遺伝子をもつDNAを混ぜて,条件を設定するとDNAが酵母菌のいくつかに入ります。
中には遺伝子の入ってない酵母菌も多くいます。
これらをすべてウラシルがない培地にまいてやれば,DNAが入った酵母のみが生育します。
生育した酵母=ウラシル合成遺伝子が入った酵母となります。
ウラシル合成遺伝子の横にアミラーゼ遺伝子を隣接させているので,この酵母はアミラーゼ遺伝子も導入されることになります。
実験は驚くほど簡単です。
一方,実験に含まれる知識内容には大変深いものがあります。
このキットは簡単な体験学習としても構成できますし,大学レベルの内容を教えることもできます。
教育目的組換えDNA実験とは
実験材料
教育目的組換えDNA実験では,安全性の高い実験材料が規定されています。
遺伝子を導入する宿主は,大腸菌,枯草菌,培養細胞,酵母などで,導入する遺伝子は,アミラーゼ,セルラーゼ,ガラクトシダーゼ,グルコシダーゼ,ホスファターゼ,GFP,ルシフェラーゼとされています。
本キットは,酵母菌を宿主とし,カビアミラーゼ遺伝子を用います。
酵母菌はパンやお酒などの食品に利用される最も安全な微生物の一つです。
さらに,大腸菌に比べ操作が簡単で,教育目的の実験に最適な微生物です。
指導者の要件
教育目的の実験を行う場合には指導するものの要件が決められています。
組換えDNAの取扱いを理解しており,大学在学中に組換えDNA実験の経験があるか,または,大学等が開催するセミナーに参加したことがある経験が必要です。
指導者の義務
実験を行う場合には,実験中の適切な指導,全体の管理監督および学校長の同意を得ることが必要です。
また,実験者の名簿,実験場所,日時,使用材料などの記録と保存が必要とされています。
実験室と実験上の注意
実験室は,初等中等教育機関の理科室であれば問題なく,特別な設備は必要ありません。
本キットでは,特殊な装置や器具は必要ありません。
実験上の注意事項としては,以下のようになります。
・窓や扉は閉じておく
・飲食,食品の保存,喫煙の禁止
・実験終了後に手を洗う
・口を使うピペット操作はしない
・保管管理を確実に
・実験終了後に組換え体,実験器具を確実に滅菌
・実験室の整理整頓
高校生物との関連
細胞の構造
単細胞生物である酵母菌を顕微鏡観察すれば微生物の細胞について考えることができます。
細胞の増殖
真核生物である酵母は顕微鏡観察も可能で出芽を観察することで細胞分裂や細胞周期も学ぶことができます。
培地に生育するコロニーや培養後の酵母菌数を数えることで細胞の増殖期についても考えることができます。
遺伝子の本体DNA,転写と翻訳,遺伝暗号の解読,一遺伝子一酵素説,代謝と遺伝子の働き,遺伝子の働きと形質発現,バイオテクノロジー,遺伝子組換えなど
遺伝子はDNAでできています。
DNAを観察するには魚の精子(白子)を利用した実験(参考実験)で観察することができます。
また,遺伝子の本体がDNAであることを示すきっかけとなったグリフィスの形質転換実験と酵母菌の遺伝子導入も同じ意味の形質転換です。
このキットの実験ではDNAに2つの遺伝子を持たせていますので2種類の形質が転換します。
一つはウラシル合成遺伝子で,もう一つがアミラーゼ遺伝子です。
栄養(ウラシル)がないと生育できない酵母菌にウラシルを合成する遺伝子が入ればその栄養のない培地でも生育します。
ウラシルはRNAの塩基の一つです。
このしくみは一遺伝子一酵素説では栄養欠損変異が登場しますが,ウラシル欠損株も同じ内容で説明できます。
また,正常なウラシル合成遺伝子を導入すれば,その遺伝子の入った酵母のみが増殖する実験系ができます。
ウラシル合成遺伝子などをマーカー遺伝子と呼び,遺伝子導入には欠かせないものです。
遺伝子組換え植物などでもほとんどの場合マーカー遺伝子を利用して遺伝子導入体を選択する方法を使っています。
タンパク質と酵素,生体内の化学反応,消化など
アミラーゼはデンプン分解酵素です。
単糖であるグルコースがつながって多糖になっているのが米やパンに含まれているデンプンです。
デンプンはアミラーゼで分解され,グルコースになります。
デンプンはヨウ素により紫色に染まります。
しかし,分解されたグルコースはヨウ素では染まりません。
これを利用して,酵素の活性を鋭敏に簡単に測ることができます。
アミラーゼはだ液にも含まれていますし,消化薬にも入っています。
このキットのアミラーゼ遺伝子の産物は三共胃腸薬の中に入っているタカジアスターゼと同じものです。
だ液中のアミラーゼの活性も簡単に調べることができるアミラーゼ活性測定キットも用意しています。
本キットとアミラーゼ活性測定キットとを同時に利用されると遺伝子工学と酵素やタンパク質の知識が格段に増えるはずです。
また,これらのキットで遺伝子操作を行っているアミラーゼと自分のアミラーゼや医薬品のアミラーゼに触れることができますので,遺伝子と医薬や体のアミラーゼとの関連が身近な問題として捉えることができます。
先生の予備実験編 (1週間程度)
実際の生徒への実験の前に,先生の方でキットを試験し,成功を確認するための予備実験を紹介します。
予備実験では結果までの時間短縮のため最低限の時間で行います。
また,得た結果やプレート等は保存し,生徒の実験が失敗したときにも成功例として示すことができます。
DNAを入れない場合のコントロール実験は先生用の予備実験にしか入れていません。
コントロール実験の用意としても予備実験を是非行ってください。
恒温培養器等がなくても問題なく実験ができますが,培養器があれば時間が短縮できます。
安価な恒温装置は3万円程度で手に入ります(SANSHOSIB-25など)。
注意事項
空気中に浮遊している微生物や手に付着している微生物が混入しないように注意する無菌操作となります。
可能であればガスバーナーの横やクリーンベンチで操作を行う方がよいですが,以下の点を注意すればほとんど問題は起こりません。
・培地プレートのフタをむやみに開けないこと。
空気中の雑菌が混入する(写真)。
・スポイト,ループ,スプレッダーを袋からむやみに出さないこと。
操作の直前に出し,出したら手や服,実験台などに先がさわらないように注意すること。
また,一度出したらテーブルの上に置くこともできない。
もし置く必要がある場合は先があたらないように置く。
・酵母菌チューブは使用直前まで開けないこと。
・イメージトレーニングを実際の操作の前に行っておくとよい。
無菌操作なのでいったんスポイトやスプレッダーを袋から出すと中止できない。
実験後の片付け
1.プラスチック器具
微生物はキッチンブリーチなどの塩素系除菌・漂白剤によって殺菌処理して捨てる。
10ml程度のブリーチを1Lの水に入れ,その容器に使用後のループ,スプレッダー,マイクロチューブ,スポイト類を入れる。
10分以上置いたのち,プラスチックごみとして捨てる。
2. プレート培地
プレート培地は,寒天培地をへらでプレートから取り出し,水の入ったなべに入れ,沸騰させて殺菌する。
沸騰すれば,火を止め,水分は流しに,寒天などの固形物は生ごみとして捨てる。
溶けた寒天を流しに流すときは水で寒天液を薄めながら流す必要がある。
溶けた寒天が流しのパイプで固まると流しが詰まる原因となるので大量の水で薄める。
予備実験
予備実験は生徒用実験とは違うセットになっています。
予備実験セットを用いて実験を始めてください。
1日め:
酵母菌の前培養を行う。
(10分)
用意するもの
酵母菌チューブ(-20℃保存)1本
YPD培地1枚
1.凍結した予備実験用酵母菌液(0.3ml)を溶かす。
2.溶かした酵母菌のフタを開け,チューブから直接1枚のYPD培地にたらす。
たらしたらすぐにフタをする。
3.たらした酵母液をシャーレを傾けながらシャーレ全体に広げる(写真)。
4.すぐにフタをして,室温で1日置く。
30℃に保温できると増殖は最もよい状態になる。
2日置いてよい。
参考:
酵母菌は冷凍状態で1年以上保存できる。
解凍を繰り返しても数回は使える。
2日め:
酵母菌への遺伝子導入(コントロール実験も含む,1時間)
用意するもの
前日準備した酵母菌培養プレート1枚(写真)
DNA液1本(室温で溶かす)
遺伝子導入液2本(室温で溶かす)
ループ2本
最少培地2枚
スポイト4本
スプレッダー2本
フロート1枚
42℃の湯浴写真
1.
遺伝子導入液を冷凍庫から取り出し,解凍する。
解凍した状態で数時間置いても問題ない。
2.遺伝子導入液のチューブの1本のフタに「DNA」,もう1本にDNAを入れないコントロール「C」をサインペンで記入する。
3.前日用意したYPDプレート上に生育している酵母菌をループ(丸のある側)でできるだけ多く集める。
培地をかきとらないようにする。
(写真)
4.ループの酵母菌全部を遺伝子導入液に直接入れる。
米粒程度は必要。
それぞれのチューブにループを変えて2本ともに入れる(写真)。
注意:
酵母菌の生育したYPD培地は冷蔵庫保存しておく。
数日ならば導入効率は落ちるがそのまま使える。
また,この酵母はアミラーゼ活性検出用のコントロール酵母としても使用するので廃棄しない。
5.滅菌済スポイトを袋から取り出し,「DNA液」の中に入っているDNA溶液すべてを酵母菌の入った遺伝子導入液「DNA」に入れる。
6.入れた後,同じスポイトで液を吸ったり出したりを5回繰り返すことで酵母菌を懸濁(けんだく)する(均一に酵母菌を遺伝子導入液に混ぜる)。
この操作は重要。
7.コントロール「C」にはDNA溶液を入れないで新しいスポイトで混ぜる操作を全く同じように行う。
以後はDNA入りと同じ操作。
8.フロートにチューブを差し込み42℃(42℃以上の温度では酵母が弱るので注意)に20分置く。
(湯浴は冷めていくと効率がある程度落ちるが問題ではない。
途中で熱して42℃を維持する場合でも決してそれ以上の温度にならないように。
この42℃の時間をのばせば遺伝子導入効率が上昇する。
通常1~2時間がよい。
授業時間の都合で変更可能であるが,20分は必要。
)
9.新しいスポイトを袋から出し,42℃に置いていた酵母-DNA混合液を「DNA」と記入した最少培地プレートの中心にたらす(写真)。
たらしたらすぐにフタをしめる。
10. 「スプレッダー」で酵母DNA混合液をプレート上に均一に引き伸ばす。
水分が残っているうちに引き伸ばしをやめる。
乾いた後にスプレッダーで引き伸ばすと菌を取り除くことになるのでやりすぎは禁物。
引き伸ばすとすぐにフタをする。
11. コントロールも同じようにプレートにまく。
12. 室温で3~7日,白いコロニーが現れるまで置いておく(写真)。
もし,28℃~30℃の恒温インキュベーターがあれば,約2日で現れます。
もし空気中などから混入した酵母菌以外のカビなどの微生物が発生したら早めに冷蔵庫に入れる。
カビが混入するとプレートがカビで覆われてしまう。
参考:
42℃の時間と効率(効率はコロニー数で現される)の関係を調べることで発展的な実験も可能。
また,42℃ではなく室温に静置していても遺伝子導入が可能である。
その場合は1日(約24時間)で高い遺伝子導入率が得られる。
高校の実験時間を考慮して,このマニュアルでは20分を設定しているが,室温で1日置き翌日次の操作に移ってもよい。
また,42℃は2時間程度が最も高い効率を示す。
42℃がなぜ遺伝子導入効率を上げるのかはまだわかっていない。
4日め:
遺伝子導入酵母プレートの観察とアミラーゼ活性検出の準備
用意するもの
遺伝子導入酵母が生えた最少培地1枚
導入前酵母菌1枚
デンプン培地1枚
ループ3本
サインペン1本
・ 観察
「DNA」の最小培地に白い小さなもり上がった丸い点がいくつも現れているはず。
個々の点をコロニーと呼ぶ。
冬場では気温が低いと酵母菌の成長が遅いので,もしコロニーが小さいようならもう1,2日待つとはっきり現れるはず。
1つのコロニーは,もともと1個の酵母菌が生育してできている。
コロニーの中には100万個以上の酵母菌が増殖している。
1コロニーは遺伝子導入された酵母菌が1ついたことを示すので,コロニーの数が遺伝子導入の効率を示すことになる。
したがって,コロニーの数が多いと効率よく遺伝子が取り込まれたことを示す。
コロニーの数え方は,プレートを裏返して,プレートの底からコロニーを観察する。
サインペンでコロニーに点を打ちながら数えると数え間違いがなくなる(写真)。
多い場合は4分割して一分割分を数え4倍する。
一方「C」の最少培地には何も生えてこないはず。
このプレートも生徒用に示すために冷蔵庫保存する。
これらの最少培地に増殖した酵母は,アミラーゼ遺伝子も同時に導入されている。
本実験の宿主酵母はアミラーゼを持たないので,新たにアミラーゼを持ちデンプンを分解する能力が付与された酵母菌が作製されたことになる。
次に遺伝子導入酵母菌が本当にアミラーゼを持ったかどうかを調べる。
・ アミラーゼ活性検出準備 (10分)
アミラーゼ活性検出のために,まず,デンプン含有培地で酵母菌を増殖させる。
1.デンプン培地のウラ側にサインペンで点を2つ書く(写真)。
1つに「T」,もう1つに「C」と記入する。
2.遺伝子導入された酵母菌コロニーの数個をループでとり,それをデンプン培地の「T」点に合わせて培地上に5mmぐらいの円形に塗る(どんな形状でもよい)。
塗ったらすぐフタをする。
3.冷蔵庫保存していたシャーレに生育している導入前酵母菌を「C」点上に同様に5mmぐらいの円となるように塗る。
塗ったらすぐフタをする。
4.
T(Transformed):
形質転換された
C(Control) :
対照
フタをして室温(30℃がよい)で静置する。
翌日からデンプン検出可能であるが1週間おいてもよい。
5日め:
アミラーゼ活性の検出(10分)
用意するもの
酵母菌を塗ったデンプン培地1枚
スポイト(個別包装でないもの)1本
発色液1本 (3ml)
1.
酵母を塗った培地のフタをあけ,2ml程度の発色液をスポイトで2つの酵母菌の周りにそっと落とします(写真)。
プレート一面に発色液を入れる。
2.すぐにヨウ素デンプン反応が始まり,プレートが紫色を示すはず。
ただし,アミラーゼ導入酵母の周りは透明のはず(写真)。
この透明帯をハロと呼ぶ。
しかし,「C」の酵母株の周りには透明帯がないはず。
このハロがアミラーゼ活性を示す(写真)。
遺伝子導入酵母菌から分泌されたアミラーゼによりデンプンが分解されるので酵母菌の周りにはデンプンがなくなる。
デンプンはヨウ素デンプン反応で紫色として検出されるので,デンプン培地上で培養したアミラーゼを持つ酵母とその周りにヨウ素液(発色液)をふりかけると酵母菌の周囲はデンプンがないので透明になる。
注意:
紫色は時間が経つと消えるが,その場合はもう一度発色液をたらせば色がでる。
ただし,酵母菌が発色液で流れるのできれいな状態は維持できない。
デジタルカメラで写真を撮っておくと結果が保存できる。
生徒用実験本番日程案
2週分と3週分の日程案を示します。
一週間単位で授業が行われていると考えての日程案です。
適宜進展や時間に合わせて計画してください。
最短は予備実験の日程となります。
生徒用グループ実験には予備実験で行ったDNAを入れない場合の遺伝子導入実験は含めていません。
その実験を生徒に行わせたい場合は,5グループ分として使用してください。
「3週分の実験日程案」
実験前日「実験準備:
前培養」20分
実験直前準備42℃湯浴の準備
第一回め実験「酵母菌への遺伝子導入」
実験概要説明5分
酵母菌への遺伝子導入操作 20分
DNA-酵母菌混合液の42℃保温(講義) 20分
混合液の最少培地へひろげる操作10分
後片付け5分
1週間後
第二回め実験「遺伝子導入酵母の観察」
実験概要説明5分
形質転換培地の観察とコロニー数測定10分
酵母菌のでんぷん培地への塗布10分
講義35分
1日から1週間後
第三回め実験「アミラーゼ活性の検出」
実験概要説明5分
でんぷん分解の検出20分
講義35分
(またはアミラーゼ活性測定キットの利用)
「2週分の実験日程案」
実験前日「実験準備:
前培養」20分
第一回目実験直前 42℃湯浴の準備
第一回め実験「酵母菌への遺伝子導入」
実験概要説明5分
酵母菌への遺伝子導入操作 20分
DNA-酵母菌混合液の42℃保温(講義) 20分
混合液の最少培地へひろげる操作10分後片付け5分
6日後
第二回め実験前日 酵母菌のでんぷん培地への塗布 10分
1週間後
第二回め実験「遺伝子導入酵母の観察とアミラーゼ活性の検出」
実験概要説明5分
形質転換培地の観察とコロニー数測定10分
実験概要説明5分
アミラーゼ活性の検出15分
講義と考察20分
後片付け5分
実験は講義を含め説明を行いながら,3回か2回で完結するように計画しています。
2回で完結させるためには,第二回目実験の前日に酵母菌のでんぷん培地への塗布を生徒か先生が行う必要があります。
これは,酵母菌を培養する時間が最低一日必要なためです。
最小限の時間で行う場合も,3~4日(温度が30℃ならば2日)の酵母菌の遺伝子導入体がコロニーとして観察できるまでの培養時間が必要です。
授業の進展具合に合わせて計画してください。
コロニーは冷蔵庫で保存できます。
アミラーゼ活性検出キットはだ液の酵素活性を検出する実験キットです。
本実験キットと併用することで遺伝子からタンパク質,酵素を身近な内容として学習することができます。
予備実験を行った場合は,容易に実験が理解できると思います。
生徒人数やグループに合わせた実験準備を行ってください。
実験に失敗するグループも出てくることが普通ですが,失敗をよいきっかけとして利用すると同時に,失敗をカバーできるように予備実験での結果や写真を保存して,本番実験で利用できるようにしておくとよいでしょう。
生徒用本番実験
第