《悠长假期》日文台词修改版.docx

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《悠长假期》日文台词修改版

 南:

おはようございます。

瀬  名:

おはようございます。

  南:

朝倉幸平、この部屋に住んでいる朝倉幸平。

瀬  名:

失禮ですけどどちら様すか?

すみません、あのう朝倉さんだったら荷物まとめて出て行きましたけど。

 

南:

「出て行った」って、どこに?

今日、私、結婚式なんですよ。

10時からなんで、8時に来るはずなのにもう9時半になろうとする。

朝倉さん来ないからこのままじゃ、私一人で結婚式あげるのとか思って、冗談じゃないわよ、なんで一人で結婚式あげなきゃいけないのとか思って。

朝倉さん朝弱いの、だからね、「結婚式午後からにしちゃおうよ」と言ってたぐらいなの。

寝てるよ、絶対寝てるに違いないよ。

絶対寝てる。

なんで、もう親せきとかも集まってるんですよ。

家族とか親とか出てきてるんですよ。

式10時からなんですよ、ってことはあと。

瀬  名:

あと30分。

  南:

ね、人ごとみたいに言わないでくれる?

それより朝倉は、朝倉はどこに行ったの?

瀬  名:

さあ、お互いに干渉しない主義だったからわからないんですよ。

  南:

困るな!

式10時からなんだよな。

今9時半、ってことはあと30分!

瀬  名:

それは今聞きました。

  南:

そうよ、ところであなた誰?

瀬  名:

僕はだからその朝倉のルームメートの瀬名です。

でももう朝倉さん、荷物持って出て行っちゃったからルームメートじゃないんですけど、そんなに僕をにらまないで下さい、関係ないんですから。

  南:

じゃ、どうしたらいいの?

瀬  名:

なんか手がかり!

南さんですか?

  南:

なんで私の名前?

瀬  名:

いや、手紙書いてあるから。

あ、俺いないほうがいいですね。

  南:

いや、ちょっと、ね!

出だしだけ目通してくれない?

やっぱり自分でやる。

あ、やっぱり、でも自分で。

やっぱり目通して。

視覚で見るとショック大きそうだから。

瀬  名:

視覚ってなんですか?

  南:

目で見るってことでしょう、バカじゃない?

瀬  名:

そうですけど、耳で聞くと「空耳」ってあるかも知れませんね。

  南:

あ、ちょっと待って!

OK。

瀬  名:

あのう

  南:

最初が「あのう」!

瀬  名:

いや、そうじゃなくて。

先からあなた僕に対して態度すごい大きいと思うんですよ。

別にいいんですけど、今大変な時でしょうし、その手。

じゃいきます。

「親愛なる南へ。

すまない南」

  南:

いきなりすごいじゃん。

(突然)

瀬  名:

いや、この先もっとすごそうなんで覚悟しといて下さい。

  南:

OK。

瀬  名:

「僕はある女性と戀に落ちてしまった。

彼女は僕がいないと生きていけないタイプだ。

君は僕がいなくても100万年でも生きていけるタイプだ。

だから君の前から突然姿を消す、君との結婚なかったことにしてほしい、すまない。

  南:

もういいよ。

瀬  名:

もう終わりです。

  南:

え!

もう終わりなの?

私はカメじゃないよ。

(乌龟)

瀬  名:

はい?

  南:

100万年、郡い、たばこある?

若い!

いくつ?

瀬  名:

4です。

火、灰皿ちょっと。

はい。

  南:

すみません、南ですけれど。

瀬  名:

この部屋に他に誰がいるんだよ。

あのう、トイレだったら今かわりますか。

  南:

いえ、あのうそうじゃなくて。

私ちょっと思いついたんですけれど、あんたひげ剃ってシャワー浴びてキレイにできると思うし、ですからここはひとつ。

瀬  名:

ここはひとつなんですか?

  南:

私と結婚して下さい。

瀬  名:

勘弁して下さいよ。

すみません。

あのう、はっきり言いますけど、あなた今パニックで取り乱してると思うんですよ。

俺「花むこ」の代わりなんかできないし、ほら関係者の人だってたくさん来てるでしょう。

  南:

そうか。

瀬  名:

だからあのう、ここはひとつ、式場に早く戻って善後策考えたほうがいいですよ。

「花むこ」だって戻ってきてるかも知れないし。

  南:

そうだよね、そうだよね。

あ、寝てるとこ郡かったね。

瀬  名:

僕ももうそろそろ起きなくちゃいけなかったから。

  南:

お勤め?

瀬  名:

いや、これあのう、ピアノ。

  南:

弾くの?

瀬  名:

今日あのう、ピアノ·コンクールなんですよ。

  南:

コンクール!

じゃーね。

瀬  名:

あのう、これ頭忘れてますよ。

  南:

サンキュー。

瀬  名:

あのう、お金、持ってます?

  南:

うーん。

瀬  名:

タクシー代。

  南:

式場すぐ近くだから来る時も走ってきた。

瀬  名:

でも、人に見られますよ、これだもん。

  南:

サンキュー。

きっと返すから。

瀬  名:

いいです。

いいです。

  南:

じゃーね。

コンクール、コンクール頑張ってね。

(比赛)

第1回何だよ、この女!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

真  二:

ね、どうする、東京帰る?

ルミ子:

ガそリンないよ、お金もないし。

真  二:

あ、そう。

勝負だ。

(一决胜负)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  南:

お久しぶりです。

瀬  名:

どうも。

  南:

あれ!

わかんない?

この間。

瀬  名:

あ、この前あのう、カツラの。

ずいぶん感じ違いますね。

(カツラ①〔かもじ〕头发绺②〔劇などの〕假发→鬘をつける/戴上假发.)

  南:

あ、そーう?

南。

瀬  名:

どうでした?

  南:

あのうね、式場戻ったら来てた。

瀬  名:

やっぱり。

  南:

そう、やっぱり。

よかった戻って、あなたの言う通り。

瀬  名:

言ったじゃないですか!

  南:

ね、本当。

瀬名さん!

瀬  名:

セナって上がってもらえます?

セナって。

  南:

あ、私南。

結婚したら朝倉南。

瀬  名:

はい?

  南:

知らないの?

朝倉南。

瀬  名:

あ、マンガ。

  南:

そう、マンガ。

瀬  名:

今日どうしたんですか?

  南:

あのうね、うちもうすぐ裏のほうんでね散歩、犬の。

瀬  名:

あ、犬の散歩。

 

南:

今ちょうど放しちゃったとこ、今そのへんで走ってるんじゃないかな。

あれ、うちのジョウかな。

ジョウ、ジョウ!

瀬  名:

何かってるんですか?

  南:

秋田犬。

じゃーね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

瀬  名:

はい。

はいはいはい。

あのどちら様ですか?

  南:

こんにちは。

瀬  名:

なにか?

  南:

あのね、タクシー代。

瀬  名:

あ、いいのに、そんなわざわざ。

  南:

いやいやほら。

借りは借りだから。

瀬  名:

あのう、これ。

  南:

食事中?

瀬  名:

いや、これからなんですけど。

  南:

ごめんなさい。

瀬  名:

じゃー何するんですか?

  南:

お願い。

瀬  名:

何が?

  南:

一生のお願い。

瀬  名:

だから「何が」って聞いてるでしょう。

  南:

引っ越してきていい?

瀬  名:

誰が?

  南:

私が。

瀬  名:

どこに?

  南:

ここに。

瀬  名:

なんで?

  南:

なんで?

今「なんで」って言った?

絶対「なんで」って言たよね。

事情を聞く気があるってことだよね。

「ダメ」じゃなくて「なんで」って言ったよね。

瀬  名:

何言ってるんですか?

あんた。

  南:

南!

瀬  名:

はい?

  南:

「あなた」じゃなくて「南」葉のオの南。

瀬  名:

あ、名前ね。

  南:

そう、南、事情だけでも聞いてみる気ないか?

荷物!

瀬  名:

あ!

くつ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

瀬  名:

それで?

  南:

私は自分のマンション引き払って貯金は全部「結婚式及び結婚後の新居の資金に」って朝倉に渡しちゃったわけ。

瀬  名:

それで?

  南:

それで、それ持ってあいつ逃げたでしょう!

つまり早い話しが私一文無し。

瀬  名:

それで?

  南:

それで、むりやりマンション引っ越すの待ってもらってたんだけど、だけど新しく借りる人たちが来ちゃうっていうから大家に追い出されたっていうの。

瀬  名:

それで?

  南:

友だちんとこへ行こうかなとも思ったんだけど、結婚してるでしょう、ワンルームでしょう、男がいるでしょう。

はい!

引越屋:

どうするの?

この荷物。

  南:

今、決着つけますから。

瀬  名:

決着ってなんですか?

それ。

  南:

もうなす術もなくドラックに荷物をのっけてね、「どこに行こうかな」と思っていたら。

瀬  名:

それで犬の散歩でここに来たわけだ。

  南:

そういうことかな。

だってここ二人で住んでたんでしょう、それに女っ気なさそうだし。

瀬  名:

誰が?

  南:

いや、言ってみただけ。

これ見よがしにため息つかなくたって、私はあの結婚式以来なん人の人にため息つかれてきたか、いなかのおばあちゃんでしょう、おじいちゃんでしょう、お母さんなんか泣いてたし、お父さんが

瀬  名:

泣いてくれるようなお母さんがいるんだったらなんでいなかに帰らないんですか?

  南:

あなた東京の人?

瀬  名:

そうです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  南:

全然ダメいなかといったってね、やつ墓村みたいなんだよ。

結婚式に「花むこ」に逃げられた娘なんて忌み嫌われて石投げられて、樽ん中宙づりにされちゃうんだから。

瀬  名:

それ知ってますよ、あのう、でしょう。

  南:

ブー!

やつ墓村じゃないの。

引越業者:

お姉さん、これどうする?

  南:

ここ、ここ3階。

  南:

OK、サンキュー、腰痛い?

大丈夫?

ご苦労さま。

ありがとうね、サンキュー、ご苦労さま。

瀬  名:

いいですか!

とりあえずですからね。

とりあえず。

わかってます?

  南:

はい、あてができたらすぐに、お金ができるか、男ができるかしたら、すぐに。

あと、安心して。

私、年下には1ミリも興味ないから、あなたを襲うなんてことないない。

瀬  名:

僕もあのう、年上には1ミクロンも興味ないですから。

  南:

言い切ったね。

瀬  名:

でもあのう、年上にもよりますよ。

ちゃんと大人の女の魅力持ってれば。

風吹ジュンさんみたいのだったら。

なんか僕地雷踏みました?

  南:

大丈夫。

ガキにはわからないか。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  南:

だけどさ、桃ちゃんはさ、半端じゃないお金持ちの「玉の輿」に乗るんでしょう。

理想と違うね。

桃  子:

ああ、もちろん結婚相手とは違いますよ。

だって、生まれてから死ぬまでに何人の男と寝られるかわからないじゃないですか。

先輩!

パンツきついんでしょう。

  南:

これ血がとまっちゃうだよ。

寝られるかってさ、普通はね「生まれてから死ぬまでに何食食べられるか」って言うんだよ。

それでまずいものは「食べたくないね」って。

普通はそういう話しだよ。

桃  子:

同じことです。

  南:

同じじゃない。

桃  子:

だからやっぱり、いい男見たら、とりあえず寝たいじゃないですか!

  南:

人の話しを聞け。

桃  子:

ねえ!

  南:

「ねえ」ってもう、桃ちゃんの頭ん中どうなってるんだろうね。

桃  子:

ピンクの象がいっぱいいるんです。

  南:

「ピンクの象」!

桃  子:

ラブラブ桃子ってことですよ。

  南:

あれ!

桃ちゃん、時間いいの?

エアコンのスポンサーと会うと言ってたじゃん。

桃  子:

まだ、大丈夫です。

  南:

もう、5時だよ。

桃  子:

え!

ウソ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  南:

すみません。

瀬  名:

あ、モデルなんですか?

  南:

え?

瀬  名:

仕事。

  南:

ああ、まあ、ちょっとしたモデル!

「アンアン」とか見ないか?

瀬  名:

はい?

「アンアン」?

そういうのわからないから。

  南:

別にモデルやりたかったわけじゃないんだけど、短大ん時にね、ミス日本の3位になっちゃって、スカウトの人が来ちゃって、自慢話しみたいか。

瀬  名:

みたいじゃなくてそうでしょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

瀬  名:

これで大丈夫ですよ。

  南:

サンキューです。

瀬名君もさ、コンクールって言ってたけど、ピアニスト?

瀬  名:

まあ。

  南:

本当、ピアニスト?

ウワー、生身見るの初めて。

ほら、テレビとか映画でしか出てこないでしょう。

どんな生活?

瀬  名:

別にあのう、大したことないんですけど、たまに自分のリサイタル、やったりとか、あとはそれ以外練習してるかな、家とか学校とかで。

  南:

学校って大学?

瀬  名:

いや、大学院です。

  南:

すげー!

リサイタルってどこでやるの?

瀬  名:

あのう、東京だったらサントリホールとか。

  南:

知ってる、そこ。

クラシック好きな友だちいるんだけど、よく行ってるよ。

私は行ったことないけどね。

すごいんだね。

瀬  名:

自分だって「アンアン」のモデルじゃないですか。

  南:

あ、ああ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

瀬  名:

なに、これ!

なんだっけ!

すごい懐かしい。

  南:

ガチャガチャとかやった?

100円入れるやつ。

あれで出てきたの。

朝倉って子供みたいなとこあってさ、変なもん好きだったんだよね。

酔っぱらって街で見かけると必ずガチャガチャってやるの。

こんなもんぱっかたまっちゃってね。

瀬  名:

もう、お出かけですか!

こんなところに「アンアン」が...1980円!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  南:

もうちょっとまともな仕事ないんですか?

エキストラみたいなのとかスーパーのチラシとかそんなのばかりじゃないですか。

担当者:

今日のチラシ評判よかったよ。

  南:

何なら、私ちょっとくらいだったら肌出したって、水着もOKですよ。

日焼けサロン変えましょうか?

担当者:

勘弁して下さいよ。

自分をいくつだと思ってるんですか?

そんな仕事あるわけないでしょう。

結婚して引退するんじゃなかったの?

社  員:

あ、南さん!

新婚旅行もう帰ってきたんですか?

[南:

結婚して引退するはずだったんでしょう!

]

[瀬  名:

23歳の旋律!

]

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

佐々木:

あ、そうだ、この間のコンクールの結果まだ出ませんか?

瀬  名:

ええ。

まだ。

佐々木:

瀬名君の場合はね、上がるというんじゃなくて聴き手との間に壁を作ってしまうんです。

瀬  名:

僕は誰かのためにピアノを弾いたことがないんですよね。

いや、あのう、ピアノ自体はすごく好きなんですけど。

誰かに聴かせるというふうには弾いたことはないです。

佐々木:

来月大学院の定期演奏会があるんですよ。

練習、のぞいて行きませんか?

瀬  名:

いや、遠慮しときます。

佐々木:

じゃ。

西館のピアノ室ですね。

あのピアノは?

瀬  名:

奥沢涼子かな。

佐々木:

彼女はまだ大学2年生なんですが、若手の注目株です。

でも、僕は評論家的な評価よりも彼女のピアノ自身/自体が好きですね。

あたたかくてやさしくて、我流があって。

なんというのかな、寒い日にようやくたどり着いたシチューみたいですね。

それじゃ。

瀬名君!

瀬  名:

はい。

佐々木:

いつか、壁を取っ払って下さい。

瀬  名:

はい。

佐々木:

じゃー。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南  :

お帰り。

瀬  名:

どうしたんですか、これ?

  南  :

テーブルなかったから。

瀬  名:

いや、そうじゃなくて、これ。

  南  :

引き出物、結婚式の引き出物。

「重いから持ってくるのどうしようかな」と思ったんだけど、これけっこうおいしいし、おしゃれだし、瀬名君結婚する予定ない?

そしたら、6ガケで売ってもいいんだけど。

瀬  名:

ないです。

  南  :

飲もうよ、せっかくだから一緒に。

あれ、あけてみようか。

1965年...

瀬  名:

65年じゃ高いじゃないですか!

  南  :

すごい高い、でもいいや、今日特別、あけて!

ピアニスト。

しかしさ、順風満帆だよね。

顔もいいしさ、ピアノも弾けるしさ。

女、ね、女は?

女はどうなの?

教えて。

私おやじくさい。

瀬  名:

もう飲まないほうがいいですよ。

  南  :

大丈夫、大丈夫。

これ全部飲んだら気持ちにケリついちゃうから。

  南  :

ふうん、涼子ちゃんと言うんだ。

瀬  名:

いいじゃないですか。

  南  :

オ、ク、サ、ワ、リョウコちゃん。

ハート!

で、つきあってるの?

瀬  名:

いや...

  南  :

なんだ、片思い?

瀬  名:

これからですよ、これから。

  南  :

なれめは?

瀬  名:

あのう、1年ぐらい前かな。

僕が大学にピアノ弾きに行ったんですよ。

そしたら彼女が弾いてて、僕に「どうぞ!

」ってゆずってくれたんですよね。

  南  :

で?

瀬  名:

その彼女の「どうぞ!

」って言うのがすごいよかったんですよ。

  南  :

なに?

ちょっとやってみな。

わからない、早く!

見せな。

瀬  名:

だから、僕が弾きに行ったら、彼女が先に弾いてて...「あ、どうぞ!

」って言ってくれたんですよね。

  南  :

ちょっと面前でやってご覧。

私、ここ瀬名。

瀬  名:

僕がそのリョウゴちゃん。

目があって「ごめんなさい、どうぞ!

」って...

  南  :

けっこうドキドキしたかも知れない、もう一回やってみて。

もういいよ、「どうぞ!

」たった3文字!

すごい「省エネ」なんでそれだけで好かれちゃうわけ?

「どうぞ!

」でいいんだったら私、「どうぞ、どうぞ、どうぞ...!

瀬  名:

また、僕なんか地雷踏みました?

でも、いつもけっこう似合ってますよ。

ルミ子:

どこ電話してるの?

真  二:

いや、ちょっと、ダメだ。

瀬  名:

切れちゃった。

  南  :

へえ、リョウコちゃんだったりして。

瀬  名:

まさか。

  南  :

そうだ、せっかくこんな立派なピアノあるんだから、なんか弾いてみて。

瀬  名:

いや、人前じゃちょっと。

  南  :

いいじゃん。

瀬  名:

いや、郡いけど...酔っちゃってるし...

  南  :

へーまあ、いいか。

知ってる?

1965年ってね、私が生まれた年なんだよ。

結婚式の夜にね、朝倉が「二人であけようね」って言ってたの。

「君と同じだけこの世にいる」とか言っちゃって...27の誕生日にね、私一人だったの、男と別れて。

「今年は誕生日一人かぁ...なんて思っていたら」夜中の12時に朝倉から電話がかかってきたの。

瀬  名:

夜中の12時!

  南  :

私が生まれた日になった瞬間。

「一番先におめでとうって言おうと思った」って。

それから、つきあいだしたのね。

それから28、29、30って3回誕生日來たけど、いつも午前0時に誰よりも先に「おめでとう」って言ってくれた。

そんなのが、ずーっと続くと思ってたな。

おめでたいね。

ごめん!

しんみりしちゃった。

瀬  名:

あ、いいもん見せてあげるよ。

いい?

  南  :

どうするの?

瀬  名:

これを落とすの。

  南  :

それで?

瀬  名:

それだけ。

  南  :

なにが面白いの?

瀬  名:

投げたらちゃんと、ここまで戻ってくるの。

  南  :

ウソだね。

瀬  名:

本当だよ、本当。

  南  :

3階だよ、ここは。

瀬  名:

3階でもちゃんと、戻ってくるの、じゃ...見ててよ。

本当だから、いい?

いくよ。

  南  :

ウーソ!

なんで?

貸して貸して。

やってみていい?

ちょっと、勢いつけたほうがいいよね。

瀬  名:

まっすぐ、まっすぐ。

  南  :

いくよ。

ウソ、なんでこんなこと知ってる?

瀬  名:

昔、やって遊ばなかった?

  南  :

やらないよ。

これってさ、おもいっきりやったら、ここよりずっと高く上がるかな。

ちょっとやってみる。

瀬  名:

でも、気をつけてよ。

  南  :

3、2、1。

  南  :

いいよ、いいって。

瀬  名:

大事なもんじゃん。

  南  :

大事じゃないよ、大事じゃない。

飲むよ、続き。

あけるのどこ?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  南  :

お帰り!

瀬  名:

あのう、カギしめといたほうがいいと思いますけど。

  南  :

あ、ごめん、ごめん。

電話あったよ。

瀬  名:

え?

  南  :

電話。

瀬  名:

電話って、取ったんですか?

  南  :

はい。

瀬  名:

いや、「はい」じゃないでしょう。

決めたじゃないですか、電話は一切取らないって。

お互いの部屋には絶対入らないって...

  南  :

はい、お風呂は7時から9時までが私、10時からが瀬名さん、温泉の露天風呂みたい。

瀬  名:

なんで取ったんですか?

  南  :

いや、でてあげようかなと思って...

瀬  名:

なんでそんなこと思うんですか?

だってちゃんと留守番になってたでしょう?

  南  :

だって留守番だと切っちゃうかも知れないし...

瀬  名:

はい?

誰が?

  南  :

誰ってことはないけど。

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