N1新模拟2.docx
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N1新模拟2
第二回目模擬試験
言語知識(文字・語彙、文法)、読解
(110分)
問題1 の言葉の読み方として最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
1 彼を恨むのは間違いだ。
1 うらやむ 2 ねたむ 3 あやしむ 4 うらむ
2 開会式では、キャプテンがチームの旗を掲げて入場することになっている。
1 あげて 2 もたげて 3 ささげて 4 かかげて
3 将来を担う若者を応援したい。
1 すくう 2 になう 3 おう 4 うれう
4 この1年で彼の日本語力は著しく向上した。
1 はげしく 2 はなはだしく 3 いちじるしく 4 すばらしく
5 関連会社に業務を委託した。
1 いたく 2 いしょく 3 いだく 4 いったく
6 彼は常識を欠如している。
1 けつにょ 2 けつじょう 3 けつじょ 4 けっじょ
問題2( )に入れるのに最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
7 江戸時代の人々の世界( )はいったいどんなものだったのだろうか。
1 考 2 感 3 観 4 視
8 関東地方は台風による暴風( )に入った。
1 圏内 2 領内 3 枠内 4 管内
9 彼はオリンピックで世界記録を( )した。
1 設立 2 成立 3 確立 4 樹立
10 彼は反対意見を( )、計画を実行した。
1 押し出して 2 押し込んで 3 押し寄せて 4 押し切って
11 その国の技術力はこの1年で( )進歩を遂げた。
1 みすぼらしい 2 めざましい 3 まぎらわしい 4 ややこしい
12 受験生は( )緊張した顔つきだ。
1 一挙に 2 一概に 3 一様に 4 一律に
13 彼女は自分が天才だと( )、ちっとも努力しない。
1 うぬぼれていて 2 とぼけていて 3 つつしんでいて 4 からんでいて
問題3 の言葉に意味が最も近いものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
14 若者の間の流行は、すたれるのが早い。
1 広まる 2 衰える 3 変わる 4 生じる
15 彼の一言で状況が一気にこじれた。
1 変化した 2 改善した 3 解決した 4 悪化した
16 両国の関係は非常にもろい。
1 複雑だ 2 強固だ 3 歴史がある 4 壊れやすい
17 この問題はさほど重要ではない。
1 とうてい 2 全く 3 たいして 4 必ずしも
18 子どもがすこやかに成長することを願う。
1 健康に 2 賢明に 3 活発に 4 円満に
19 その画家の絵は光と影のコントラストが美しい。
1 分量 2 比率 3 対比 4 描写
問題4 次の言葉の使い方として最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
20 うるおう
1 新しい駅ができてから客が増え、商店街はうるおったようだ。
2 経営の悪化をうるおってばかりいても解決しない。
3 いつ何があるかわからないから、貯金してうるおっておくべきだ。
4 高齢者をうるおう気持ちを大切にしたい。
21 かろうじて
1 かろうじて念願だったマイホームをやっと手に入れた。
2 一生懸命勉強してきたので、かろうじて合格したい。
3 幼い二人の子どもを残しては、かろうじて死ぬことはできない。
4 交通事故で大怪我をしたが、かろうじて命だけは助かった。
22 寄与
1 大多数の国民が寄与しなければ、法律は改正されないだろう。
2 お金も物も不足しているので、できるだけ多くの寄与をお願いしたい。
3 田中氏は地域の発展に寄与したとして表彰された。
4 業績の向上に貢献したので、会社からの寄与を期待している。
23 加味
1 大学時代からずっとイギリス文学に加味してきた。
2 誰が反対しても母だけはいつも私に加味してくれた。
3 授業への出席状況や日常の態度を加味して成績をつける。
4 駅前の新しいレストランに行ってきたが、料理は大変加味だった。
24 感無量
1 怒りで感無量になり、何も言えなかった。
2 苦労の連続だったが、長年の夢が実現して感無量だ。
3 彼は感無量で、めったに表情を変えることがない。
4 落ち着いて行動しなければならないときに感無量では困る。
25 ニュアンス
1 メールだけでは微妙なニュアンスが伝わらないことがある。
2 加藤さんは話がうまく、ニュアンスが豊富な人だ。
3 彼の新しい小説はニュアンスに溢れて感動的だ。
4 ニュアンスのない言葉ばかり使っても、人の心には届かない。
問題5 次の文の( )に入れるのに最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
26 誰かに頼めばいい( )、一人でやるから大変なことになるんだ。
1 ものの 2 ものを 3 ものなら 4 もので
27 このホテルは窓からの眺め( )、食事( )、ほんとうにいいホテルだ。
1 といい/といい 2 やら/やら
3 なり/なり 4 につけ/につけ
28 この事故で怪我をした人たちの一日も早い回復を( )。
1 祈ってたまらない 2 祈ってやまない
3 祈るまでもない 4 祈るにかたくない
29 鈴木君は家に( )や否や、パソコンのゲームを始めた。
1 帰った 2 帰らなかった 3 帰ろう 4 帰る
30 夏休み( )、プールは大勢の子どもたちで賑わっていた。
1 とあって 2 に際して 3 の折に 4 としても
31 この書面( )、合格の証明書とする。
1 ゆえに 2 に応じて 3 にあたり 4 をもって
32 優勝( )、何とか3位以内に入りたいと思っている。
1 できるまでもなく 2 できないまでも
3 できるでもなく 4 できないものでもなく
33 お世話になった先生にそんなことを言うなんて、失礼( )。
1 極めてない 2 極まっていない
3 極まりない 4 極める
34 彼女はオリンピックに出るなんて、想像( )しなかった。
1 だに 2 とは 3 たりとも 4 のみ
35 もう決定してしまったのだから、意見を言った( )どうにもならない。
1 どころか 2 からには 3 とばかりに 4 ところで
問題6 次の文の ★ に入れるのに最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
36 部下を ★ ものだった。
1 彼の言葉は 2 聞くに 3 ののしる 4 たえない
37 試験の延期を ★ 彼も不親切だ。
1 教えて 2 知って 3 くれない 4 いながら
38 彼は、 ★ 計画を実行するつもりだ。
1 いまいが 2 いようが 3 賛成する人が 4 自分に
39 A市の遊園地が閉園を ★ 原因だということだ。
1 されたのは 2 余儀なく 3 事故が 4 たび重なる
40 規則通りのやり方ではなく、 ★ という要望が出された。
1 ほしい 2 現状に 3 対応して 4 即して
問題7 次の文章を読んで、41から45の中に入れるのに最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
私たちは普通、日本語は日本語、中国語は中国語、フランス語はフランス語、イタリア語はイタリア語、英語は英語などというように、別々のことばがそれぞれ別々にあるように、感じています。
また、外国語や母国語(あるいは国語)ということばをごく当たり前のように使うとき、まるで、国や国家が独立してそれぞれ異なるように、それぞれのことばも独立して異なっているかの41考えています。
でも本当にそう42。
世界中のことばの起源や音韻規則についての知識、歴史言語学や比較言語学の知識が進むにつれ、どうやらそれは錯覚であることが明らかになってきました。
わかってきたことは、ことばはそのすべてが、もともと、なんらかの意味において、あるいはなんらかの程度において、混ぜ合わせ(混血)だ、ということなのです。
43、その混ぜ合わせの中で、それぞれに変化を遂げていくということです。
日本語も、もちろんその例に漏れません。
よく、日本語は世界でも特殊な言語だとか、類を見ない言語だとかいう言い方がされます。
でも、ことばとはもともと混ぜ合わせなのですから、世界のどのことばも、その混ぜ合わせ方がそれぞれ特殊だとか、類を見ないとは44、日本語だけが特殊である、などということはまったくないのです。
だからその点では日本語も世界のことばもまったく同じです。
まして、日本語は、その純粋な姿をどこかでずっと保ってきた、などということはまったくありません。
逆に、日本語こそ、多様かつ大胆に、その混ぜ合わせや変容を受け入れてきた、きわめて雑種混血的なことばだと45。
(川口良・角田史幸「日本語はだれのものか」書川弘文館による)
41 1 ことを 2 ことで 3 ようで 4 ように
42 1 なのでしょうか 2 だったのです
3 なのではないでしょうか 4 なのかもしれない
43 1 しかも 2 よって 3 つまり 4 なお
44 1 言えてこそ 2 言えないなら 3 言えても 4 言えなければ
45 1 言われるでしょう 2 言えるでしょう
3 言うのです 4 言われています
問題8 次の(1)から(4)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを1.2.3.4から一つ選びなさい。
(1)最近、ピラミッド(注1)は古代の公共事業であったという説が出され、話題を呼んでいます。
エジプトでは、初夏に大雨が降ってナイル川が氾濫し、肥えた土が上流から運ばれてきます。
その土地を開墾して農作をするのですが、秋に収穫を終えると雨がほとんど降らないため、土地が干上がって農業ができません。
そのため膨大な失業者が発生することになり、下手すると暴動が起こりかねない危険性があります。
働かなくても食べられる状況にあっても、人間は労働して何か世の中の役に立っている実感がなければ、不満が溜まってくるのです。
その失業者対策としてピラミッド建設が王国の公共事業として遂行された、という説です。
(池内了「考えてみれば不思議なこと」晶文社による)
(注1)ピラミッド:
古代エジプト王の巨大な墓
46 この公共事業の目的はどんなことか。
1 夏に大雨が降ってもナイル川の水があふれないようにすること
2 農業ができないために仕事のない人に建設の仕事を与えること
3 川が運んできた肥えた土を整えて農作できるようにすること
4 食糧を大量に生産して働かなくても食べられるようにすること
(2)演劇の一場面で、女が男を愛しているとする。
いい役者が演じるならば「大っ嫌い」という台詞を書けばよい。
言語情報は「大っ嫌い」でも、非言語情報で「大好き」ならば、
「大好き」という情報は観客に伝わる。
だが、下手な役者だと事情が異なってくる。
「大っ嫌い」というと、本当に「嫌い」という情報しか伝わらないのである。
だから、下手な役者が演じるときには、劇作家は台詞を、その場面の意味どおりに書かなくてはならない。
「ベ夕べタな台詞」を書くことになる。
(竹内一郎『「見た目」で選ばれる人』講談社による)
47 筆者の言うべ夕べタな台詞とはどんな台詞か。
1 その場面とは内容的に開係のないようなしつこい台詞
2 その役の気持ちをそのまま言葉で表現したような台詞
3 その場面での役者の演技と言葉の意味がずれている台詞
4 その役の気持ちが言葉以外の方法で観客に伝わる台詞
(3)日本は燃料も鉱物も輸入に頼る、資源の少ない国であるとされてきた。
ところが、日本は今、ある意味で資源に恵まれた国といえるようになった。
レアメタルと呼ばれる世界でも採取が難しい高価で希少な金属各種が、日本には大量に眠っていることがわかってきたのである。
このレアメタルは、家電製品の中にたくさん使われているが、家電製品は新しいものが作られると、古いものはどんどん捨てられていく。
ここから取り出せば、なまじ鉱山を掘るよりも効率よくレアメタルを集められるのだという。
48 資源に恵まれた国といえるようになったのはなぜか。
1 今まで知られていなかった鉱山が発見されたから。
2 昔は価値がなかった金属が再評価されてきたから。
3 技術革新によって今までの資源が不要になったから。
4 ゴミの中に資源があるということに気がついたから。
(4)私は旬のものを、余り手を加えずに食べるという原則に忠実でありたいと思う。
そのまま食べれば一番うまいものを、わざわざ下手な調理法をして、まずくする必要はない。
実際、そういうレストランがアメリカやイギリスにはある。
質のいい牛肉なら、ただ塩コショウを振り、両面を焼くだけでおいしいのに、もったいぶって妙に甘いソースを添えたりする。
味わうのは技術ではなく、素材である。
技に溺れた料理人の作るものは面白いが、
それは手品が面白いのと同じで、やはり料理の基本は素材の吟味だと思う。
実際、一流の料理人は生産現場に足を運び、自分の目で素材を選ぶ。
この段階であらかた(注)勝負は決まっている。
(島田雅彦「飲食の業」日本文芸家協会編「不機嫌のいす」所収光村図書出版による)
(注)あらかた:
だいたい
49 この段階であらかた勝負は決まっているというのはどういうことか。
1 いい素材を選ぶことで、料理をする前においしさが決まるということ
2 素材選びが上手な料理人は味付けも上手で面白い料理を作るということ
3 素材をちゃんと選べないような料理人は、料理の技術がないということ
4 素材の良さに頼らないといけないような料理人は料理が下手だということ
問題9 次の(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして、最もよいものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
(1)スパイス(注1)を使う上での最大の奥義(注2)が、その配合の妙にあると考えている人はあまりに多い。
プロの料理人の問でもその傾向は強いが、ハッキリ言って①それは間違いである。
千葉県船橋市にあるインド料理店サールナートのオーナーシェフ(注3)である小松崎祐一氏に興味深い話を聞いたことがある。
彼はよく取材で「秘伝のスパイスの調合方法」をたずねられるが、「スパイスの配合なんて②いくらでも教えてあげますよ」と答えるのだという。
「でも、ポクと同じカレーは作れない。
ポイントはそこじゃないんです」
スパイスの配合で決まるのは、カレーの個性だ。
でもその個性を引き出すすべ(注4)がなければおいしいカレーは作れない。
そのために必要なのが③‘乳化’というテクニックである。
乳化というのは、簡単に言えば、水と油を融合させる技術のことだ。
スパイスの香り成分は水より熱した油によって引き出されやすい。
そのため、スパイス料理は、油にスパイスの香りを移し、それを素材にからめ、水と融合させていくのが鉄則だ。
そうすることで風味として人間の舌に反応させる。
水と油。
どうしても反発してしまいそうなこの2つの物質を乳化させることがスパイスの特徴を効率よく引き出す方法なのだ。
(水野仁輔「カレーライスの謎」角川SSコミュニケーションズによる)
(注1)スパイス:
香辛料
(注2)奥義:
特別の技術や秘密
(注3)オーナーシェフ:
自分のレストランを所有する料理人
(注4)すべ:
方法
50 ①それは何を指しているか。
1 プロの料理人がスパイスの配合を重視すること
2 スパイスを変な割合で配合して料理に使うこと
3 スパイスの使い方の秘密は配合にあること
4 料理の失敗の原因がスパイスの配合であること
51 ②いくらでも教えてあげますというのはなぜか。
1 スパイスの配合が同じでも自分ほどおいしいカレーは作れないから。
2 スパイスの配合はカレーのおいしさにはほとんど関係がないから。
3 カレーはそれぞれの料理人の個性を反映しておいしくなるものだから。
4 自分のようにおいしいカレーを作る人がもっと増えてほしいから。
52 ③乳化はなぜ必要なのか。
1 油にスパイスの成分を移しても、水と融合させなければ香りが引き出せないから。
2 スパイスの香りが移った油を水に融合させなければおいしいと感じられないから。
3 水と油が乳化したものでなければ、スパイスの香りを引き出すことができないから。
4 スパイスを含んだ油は水と融合させなければ、人間のロに入れることができないから。
(2)今年の年賀状に偶然、ウオーキングについてふれたものが2通あった。
「昨年ウオーキングに挫折してしまった」というものと、「今年は早朝ウオーキングに励みたい」と決意を語ったものだ。
もちろんこの「ウオーキング」は単なる散歩ではなく、健康のためのエクササイズ(注1)だ。
しかし、続けるのはそれほど筒単ではない。
もともと人類が歩行するのは、そこに移動という目的があったからだ。
移動が目的であり、歩行は手段にすぎなかったともいえる。
だからこそ車や通信システムなどの道具が生みだされたのだ。
それでは体が弱るので、今になって人はしかたなくウオーキングするのである。
①ここのところが、辛い!
だって人類文明は、怠惰な暮らしを追求することで発達してきたのだから。
何事も楽して達成できるように道具を生みだし、技術を発展させてきた未に、今この現代社会が存在する。
しかしとうとう、にっちもさっちもいかなくなった(注2)のだなあ、人間の体のほうがね。
ウオーキングのような単調なエクササイズは、どんな激しいスポーツよりも、②続けることがむずかしい行為だ。
勝ち負けや記録といった競争原理は働かないし、他人の賞賛をえられるわけでもない。
健康やシェイプアップのためと信じて、黙々と行うしかない。
第一、文明を発達させてきた原理にも逆行する反文明的行為でもある。
それを貫徹できるのは結局、強い自己愛なのだろう。
自己愛もまた文明を発達させる大切な原動力(注3)だった、と思う。
そう考えれば、毎日欠かさずウオーキングする人々は③やっぱり偉い、と私はエールを送り(注4)たくなってしまうのです。
(藤原智美「ウオーキングは難しい」読売新聞2010年1月13日付夕刊による)
(注1)キクササイズ:
運動
(注2)にっちもさっちもいかなくなった:
どうにもならなくなった
(注3)原動力:
もとになる力
(注4)エールを送る:
応援する
53 ①ここのところとはどんなところか。
1 移動の手段として歩行を使いたくないから文明を発達させたのに、結局、歩行をしなければならないというところ
2 歩行はもともと移動という目的を達成するための手段であったのに、今では歩行自体が目的になっているというところ
3 健康のために歩行以外の移動の手段を生み出したのに、そのせいでかえって身体が弱ってしまったというところ
4 人類は長い間怠惰な暮らしを続けてきたのに、現代になってからわざわざ運動しなければならないというところ
54 ②続けることがむずかしいのはなぜか。
1 文明に反する行為だから。
2 歩行は手段にすぎないから。
3 人問は怠惰なものだから。
4 動機を高める要因が少ないから。
55 筆者が③やっぱり偉いとほめるのはなぜか。
1 文明に反する怠惰な習慣を克服しただけでなく、自己愛の原理で文明を発達させるために力を尽くしているから。
2 技術を発展させるだけでなく、強い自己愛で自分を高めるという二つの原理で文明を発展させるカになっているから。
3 反文明的なことを続けるのは自己愛からだが、結局、自己愛もまた文明を発達させる別の原動力になっているから。
4 強い自己愛を捨てて難しいことを続けているだけでなく、文明を発達させる大切な原動力になっているから。
(3)自然界の不思議さは原始人類にとっても、二十世紀の科学者にとっても同じくらいに不思議である。
その不思議を、昔われらの先祖が化け物(注1)へ帰納したのを、今の科学者は分子、原子、電子へ持っていくだけのことである。
昔の人でも、おそらく、当時彼らの①身辺の石器土器を「見る」と同じ意味で化け物を見たものはあるまい。
それと同じように、いかなる科学者でもまだ天秤や試験管を「見る」ように、原子や電子を見た人はないのである。
それで、②もし昔の化け物が実在でないとすれば、今の電子や原子も実在ではなくて、結局一種の化け物であると言われる。
原子、電子の存在を仮定することによって物理界の現象が遺憾なく説明し得られるから、これらが物理的実在である、と主張するならば、雷神の存在を仮定することによって雷電風雨の現象を説明するのとどこが違うかという疑問が出るであろう。
もっとも、これには明らかな相違の点があることは、ここであらたまっていうまでもないが、しかしまた③共通なところもかなりにあることは争われない。
ともかくも、この二つのものの比較は、われわれの科学なるものの本質に関する省察(注3)の一つの方面を示唆する。
(寺田寛彦「化け物の進化」池内了編『科学と科学者のはなし寺田寅彦エッセイ集』岩波書店による)
(注1)化け物:
人間が想像で生み出した生き物
(注2)帰納する:
原因となったものを決める
(注3)省察:
よく考えること
56 ①身辺の石器土器を「見る」と同じ意味で化け物を見たとはどういうことか。
1 身の回りにある物を見たときに間違えて化け物だと思ったということ
2 化け物を石器や土器のような日常的な道具の一種だと考えたということ
3 ふだん日常的な物を目で見るように化け物を実際に見たということ
4 日用品が人間の周囲にあるように化け物も人間の近くにいたということ
57 ②もし昔の化け物が実在でないとすればとあるが、筆者は化け物の存在についてどう考えているか。
1 昔は身近に存在したものだが、現代は存在しない。
2 昔も存在しなかったし、現代も存在しない。
3 昔から存在はするのだが人間の目には見えない。
4 昔と同じ化け物は存在しないが、現代の化け物がいる。
58 この文章であげられる③共通なところはどんなことか。
1 誰も実際には見たことがないようなものが、実は現実に存在するということ
2 化け物の起こす現象を原子や電子を仮定することで説明できると考えること
3 身辺の道具を使って、身の回りで起こる現象について考えようとすること
4 見たことがないものの存在を仮定して、それで現象を説明しようとすること
問題10 次の文章を読んで、後の問いに